大分空港・宇宙港将来ビジョン(案)
~『ドリームポートおおいた』の実現に向けて~

令和4年7月
大分県

大分空港・宇宙港将来ビジョン(素案).pdf
大分空港・宇宙港将来ビジョン(素案)の概要.pdf

「大分空港・宇宙港将来ビジョン(素案)」に対する県民意見の募集について(2022年7月30日最終閲覧)


1. はじめに

大分空港は、本県の空の玄関口であり、地域発展に欠かすことのできない重要な交通基盤である。今後、観光振興や企業誘致、関係人口の増加など、本県の地方創生を加速させるためには、大分空港の利便性向上と利用促進を図り、人の流れ・物の流れを活性化させていくことが必要不可欠である。

現在、本県では、アジア初の水平型宇宙港の実現や国内唯一となるホーバークラフトによる海上アクセスの導入など、夢の大きなプロジェクトに取り組んでいるところであり、大分空港は「ドリームポートおおいた」として新たに生まれ変わろうとしている。

また、空港・航空業界では取り巻く環境や求められる役割が近年大きく変化している。特に令和2年以降は、新型コロナウイルス感染症の影響により、航空需要が大幅に減少しており、空港・航空業界は厳しい経営状況を強いられている。そのため、これまで以上に持続的・安定的な空港運営のあり方についての検討が必要となってきている。

さらに、政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すこととしており、今後、空港施設・車両からのCO2等の温室効果ガス排出量の削減や、再生可能エネルギーの活用などが求められることとなる。

こうした大分空港の現状や空港・航空業界を取り巻く環境変化を踏まえつつ、地域発展のための重要な交通基盤である大分空港の更なる活性化を図るためには、行政、航空会社、バス・タクシー・レンタカー・ホーバークラフトなどの空港アクセス事業者(以下「空港アクセス事業者」という。)、経済団体、観光事業者等の関係者が、大分空港の目指すべき将来像を共有し、その実現に向けて官民一体となって戦略的に取り組むべき内容を明らかにする必要がある。

そこで、行政と航空会社、空港アクセス事業者、経済団体、観光団体などからなる大分空港利用促進期成会内に、学識経験者を加えた「大分空港・宇宙港将来ビジョン検討部会」を令和2年10月に立ち上げ、大分空港が目指すべき将来像やその実現に向けた施策展開の方向性、空港運営のあり方について議論を進めてきた。

この「大分空港・宇宙港将来ビジョン」は、令和4年6月に同期成会から受けた提言の内容を基に策定したものである。

2. 大分空港の現状と大分空港を取り巻く環境

(1)大分空港の概要

大分空港は、国東市に設置された国管理空港であり、3,000mの滑走路を有する海上空港である。

昭和32年に大分市に開港したが、高まる航空需要に対応するため、現在の国東市に移転し、昭和46年に供用開始された。

移転時の滑走路は2,000mであったが、その後延長工事を行い、昭和63年から3,000mで供用されている。

大分空港の概要

空港の種類

国管理空港

運用時間

15時間 7:30~22:30

総面積

1,481,681㎡

滑走路

長さ 3,000m×幅45m

駐機場

小型機用:3バース、小型ジェット機用:3バース、中型ジェット機用:1バース、大型ジェット機用:4バース

運用カテゴリー

カテゴリーⅠ 精密進入灯火

大分空港の沿革

昭和32年

大分空港供用開始(大分市)

昭和46年

大分空港供用開始(国東市)

昭和57年

滑走路延長(2,000m→2,500m)

昭和63年

滑走路延長(2,500m→3,000m)

平成 4年

国際線ターミナルビル供用開始

平成14年

新旅客ターミナルビル供用開始

平成27年

運用時間延長(14時間→15時間)

令和 元年

国際線ターミナルビル増改築部供用開始(同時間帯2便対応可能)

 

大分空港の乗降客数は、国東市への移転後、順調に増加し、平成9年度には過去最高となる約207.5万人を記録した。その後、リーマンショックや東日本大震災、熊本地震の影響等による落ち込みがあったものの、LCC[1]の就航やインバウンド需要の高まり等が追い風となり、平成30年度には、国内線と国際線の乗降客数の合計が16年ぶりに200万人を突破した。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、令和元年度以降は乗降客数が減少し、令和3年度は、約89.6万人となっている。
図1 大分空港の乗降客数の推移

(2)航空ネットワーク

国内線は、羽田14往復便、成田2~3往復便、中部2往復便、伊丹7往復便の合計25~26往復便が定期運航している。また、路線別でみると、東京(羽田・成田)便と大阪(伊丹)便の乗降客数が大半を占めるが、中部(名古屋)便も一定の乗降客数を確保している。

国際線は、ソウル、プサン、ムアンの3路線が定期運航していたが、新型コロナウイルス感染症等の影響により、令和2年以降全ての路線が運休となっている。

九州内の他空港と比較すると、令和元年度国内線の乗降客数は、九州内8空港の中で、佐賀空港、北九州空港に次いで少ない。また、国際線の乗降客数は、平成30年度に過去最高となったものの、九州内の他空港と比較すると少ない状況である。
図2 大分空港の航空ネットワーク
※R4.4.1 現在。(新型コロナウイルスによる一時的な減便は除く。)また、成田便は曜日によって便数が異なる。
出典:大分空港 HP を基に大分空港利用促進期成会事務局作成

図3 大分空港の国内線乗降客数の推移(路線別)
出典:「第 58 期~第 65 期事業報告書」(大分航空ターミナル株式会社)を基に大分空港利用促進期成会事務局作成

図4 国内線・国際線乗降客数の推移(福岡空港を除く)
出典:「暦年・年度別空港管理状況調書(H22~R1)」(国土交通省)を基に大分空港利用促進期成会事務局作成

(3)空港内施設

空港内施設としては、国が管理する滑走路等の基本施設、大分航空ターミナル株式会社が管理する旅客ターミナルビル、一般財団法人空港振興・環境整備支援機構が管理する駐車場が整備されている。

近年では、平成28年に国内線ターミナルビルへの足湯の新設と展望デッキのリニューアル、平成29年には大分空港第1駐車場の増枠(712台→770台)が行われた。

また、インバウンド需要の増加に伴い、保安対策の高度化及び効率化を図るため、平成30年に国際線ターミナルビルへのボディスキャナー[2]とバイオカート[3]の導入が行われた。平成31年には、国際線の搭乗手続き円滑化のため、CUTEシステム[4]の導入も行われている。

さらに、令和元年には、国際線ターミナルビルを増改築(2,830㎡→4,370㎡)し、チェックインカウンターの増設(1か所→2か所)や出国待合室の拡張(470㎡→620㎡)などを行ったことにより、混雑緩和が図られるとともに、同時間帯2便対応が可能となった。

加えて、令和2年以降、新型コロナウイルス感染症等の感染防止のため、紫外線照射装置や検温器等の設置、抗ウイルス・抗菌フィルムの貼付け等の対策も行っている。
図5 国際線ターミナルビルの増改築
出所:大分空港利用促進期成会事務局
左:出発待合スペース(改修後)中央:出発ロビー(改修後)右:国際線ターミナルビル全景(改修後)

(4)空港アクセス

大分空港は、県北東部にある国東半島の東端に位置し、県内の各地域とは一般道及び自動車専用道路等で結ばれている。

最寄りの鉄道駅は空港から約20㎞離れたJR日豊本線杵築駅であり、平成21年にホーバークラフトが運休となって以降は、空港バス、タクシー、レンタカー、自家用車が主要な交通手段となっている。
図6 主要な空港アクセスの概要
※注 大分駅から大分空港へ移動した場合(R4.4.1時点)

県中心部から大分空港までのアクセスは、国内他空港と比較すると著しく時間を要する状況となっている。また、空港アクセスルートが陸路しかないため、事故や天候不良などによる大分空港道路等の通行規制時には、時間信頼性や速達性が損なわれるという課題がある。

そのため、本県では、大分空港へのアクセス時間を短縮し、空港利用者の利便性を向上させるため、現在、令和5年度中の運航開始を目指し、ホーバークラフトの導入に向けた取組を進めている。

また、大分港西大分地区と大分空港の発着地には、宇宙港大分を象徴する魅力的な旅客ターミナル施設を整備することとしており、このうち大分空港側では、空港ターミナルに近接する場所にホーバークラフト旅客ターミナルを建設し、航空機とのスムーズな乗り継ぎを図る予定である。
図7 導入予定のホーバークラフト(デザインは今後決定)
 

図8 ホーバークラフト旅客ターミナル施設(大分市西大分側)

図9 ホーバークラフト旅客ターミナル施設(空港側)

図10 ホーバークラフト旅客ターミナル(空港側)建設予定地
出典:「国土地理院撮影の空中写真」に大分県がホーバーターミナル建設予定地を追加して掲載

 

また、本県の空の玄関口であり、人の流れの拠点である大分空港の更なる活性化を図るためには、二次交通であるバス、タクシー、レンタカーや今後導入予定のホーバークラフトなど、大分空港から目的地までの移動の利便性を高めることが重要である。

そこで、本県では、大分空港利用促進期成会内に「大分空港を起点としたMaaS検討部会」を設置し、新たな移動サービスとして、大分空港から目的地までの移動手段の検索・予約・決済を一括して行うことができるMaaS[5]の導入に向けた検討を進めている。
図11 MaaS の社会実装イメージ図
出典:国土交通省HP

 

(5)観光

本県は、全産業に占める宿泊業の事業所数・従業者数の割合が全国的に見て高く、人口当たり延べ宿泊者数も全国上位で推移するなど、「全国有数の観光県」である。

本県において観光は、幅広く消費と雇用を生み出す重要な産業であり、県内経済に与える影響も大きいことから、観光振興と連携させて、人の流れの拠点である大分空港の活性化に取り組むことは、本県の地方創生の加速を実現させる上で非常に重要である。

本県の宿泊客数は、近年、インバウンド需要の高まりなどにより堅調に推移していたが、令和2年以降は新型コロナウイルス感染症等の影響により減少している。

大分県観光統計調査(平成30年)によると、本県の日本人宿泊客は、福岡県をはじめとした九州各県からの宿泊客が4割以上を占めており、次いで関東からの割合が高くなっている。一方、外国人宿泊客は、韓国、台湾、中国、香港といった東アジアの国・地域からの割合が高く、9割以上を占めている。外国人宿泊客数は、全国で15位前後に位置しており、九州内では福岡県に次いで多くなっている。
図12 大分県における宿泊客数の推移
 

図13 大分県における出発地別日本人延べ宿泊客数構成比及び国・地域別外国人延べ宿泊客数構成比
 

また、外国人が九州内の他県を経由して本県を訪れる外国人二次訪問数(平成31年)の状況を見ると、福岡県から大分県への流動が約45.1万人であり、福岡県経由で本県を訪れる外国人が多いことが分かる。さらに、熊本県から大分県、福岡県から熊本県への流動も多くなっており、福岡県-大分県-熊本県における外国人の広域周遊需要が成立していると考えられる。

なお、本県を最終目的地とする外国人のうち、大分空港から出国しているのは約4.5万人と福岡空港(約23.1万人)の5分の1以下にとどまっており、本県を訪れる外国人に対して、大分空港利用を促すための取組が必要である。
図14 出発地別にみた外国人二次訪問数及び最終目的地別にみた外国人出国空港
 

3. 宇宙港の取組の現状

(1)大分県における取組

宇宙産業は、現在の約40兆円の市場規模から、2040年代には、約120兆円まで拡大する、という推計があるように、今後の成長が期待される産業分野である。

また、2021年は、米国において、Virgin Galactic、Blue Originといった民間企業が、相次いでサブオービタル飛行[6]と呼ばれる有人宇宙旅行を実現させ、「宇宙旅行元年」と言われる記念すべき年となった。

このような環境の中、2020年4月2日、本県は、米国の小型人工衛星打ち上げ企業であるVirgin Orbitと、大分空港の水平型宇宙港活用に関するパートナーシップを発表した。これにより、本県は、大分空港のアジア初となる水平型宇宙港としての活用に向けて、Virgin Orbitや関係機関と連携して、調査・調整を進めているところである。

加えて、2022年2月26日、本県は、米国のSierra Space及び日本の総合商社である兼松株式会社と、宇宙往還機[7]Dream Chaserの活用検討に向けたパートナーシップを締結した。今後、3者で連携し、安全性・環境面の予備検証や経済波及効果などについて、具体的な検討を進めることとしている。

本県は、「宇宙港を通じ、アジアにおける宇宙ビジネスの中核拠点となることで、日本を含むアジアの企業や人々に、地球を越えた新たなビジネスや暮らしの選択肢を提供する」というビジョンを掲げ、これらのパートナーシップを通じて、宇宙港の実現を図るとともに、宇宙港を核とした新たなエコシステム(経済循環)創出に向けた取組を進めることとしている。

図15 宇宙港利用の概観
 

(2)世界・日本の状況(水平型宇宙港)

① 世界の状況

空港を活用する水平型宇宙港については、米国が先行しており、12の水平型宇宙港(Horizontal Spaceport)が、FAA(アメリカ連邦航空局)の認証を受けている。

<例>
Mojave Airport & Spaceport(カリフォルニア州)
Spaceport America(ニューメキシコ州)

また、英国でも取組が進められており、Cornwall では、米国 Virgin Orbit との連携により、打ち上げに向けた準備が進められているほか、ブラジル等でも検討が進められている。

② 日本の状況

大分空港の他には、2020年9月、民間による宇宙機開発を進めるPDエアロスペース株式会社において、沖縄県の下地島空港及び周辺用地利用活用事業の第2期として、下地島空港における宇宙港事業の実施が発表されている。

2021年7月には「下地島宇宙港事業推進コンソーシアム」が設立され、現在、宇宙港の整備に向けた取組が進められている。

4. 目指すべき将来像

大分空港の現状と大分空港を取り巻く環境を踏まえ、中長期的に大分空港が目指すべき将来像及び乗降客数目標を以下のとおり設定する。

◆大分空港が目指すべき将来像

『ドリームポートおおいた』の実現~陸・海・空そして宇宙につながる唯一無二の空港へ~

◆乗降客数目標

短中期目標として、令和14(2032)年度までに年間約260万人、長期目標として、令和32(2050)年度までに年間約320万人<参考>を目指す。
図16 乗降客数目標
 

【乗降客数目標の考え方】
IATA(国際航空運送協会)の航空需要予測を基に算出した2023(令和5)年度乗降客数(推定値)を基準として、短中期目標、長期目標<参考>の乗降客数を上記のとおり設定した。乗降客数の積上げ内容は以下のとおり。

-短中期目標:2032(令和14)年度-
国内線:①既存路線利用促進・増便+約30万人、②新規路線誘致+約10万人
国際線:①新規路線誘致+約20万人

-長期目標:2050(令和32)年度<参考>-※2032(令和14)年度からの積上げ分のみ記載
国内線:①既存路線利用促進・増便+約40万人、②新規路線誘致+約10万人
国際線:①新規路線誘致+約10万人

また、「大分空港が目指すべき将来像」の実現に向けた取組が、関係者の緊密な連携・協力の下で実施されるよう、4つの施策展開の方向性及びそれらを推進するための空港運営のあり方について、次の図のとおり整理した。
図 17 施策展開の方向性及び空港運営体制のあり方
 

5. 施策展開の方向性

(1)航空ネットワークの拡充

①現状分析

本県は、温泉をはじめ、豊かな天然自然やそこで育まれた山海の幸など、優れた観光資源の宝庫であり、観光地として高いポテンシャルを有する一方、大分空港は、国内線・国際線ともに就航路線が限定的であり、九州内他空港と比較して乗降客数が少ない。

さらに、乗降客数が少ない要因の一つとして、大分空港は県北東部にある国東半島の東端に位置しており、地域によっては、距離が近く、アクセス時間が短い近隣空港(福岡・北九州・熊本など)を利用していることが考えられる。

県民や国内外からの観光客等の移動の利便性を高め、本県の地方創生を加速させるためには、航空ネットワークの拡充に向けた取組を官民一体となって戦略的に推し進めていく必要がある。

また、施策を展開するにあたっては、「大分県ツーリズム戦略」や「大分県海外戦略」など、本県が取り組む空港関連施策との連携を図り、効果を最大限に発揮させることが望ましい。

② 取組の方向性

  • 路線誘致・定着に向け、官民が一体となった戦略的なエアポートセールス体制を構築する。
  • 国内線では、経済規模の大きい三大都市圏(首都圏・関西圏・中部圏)との路線充実に向けて、本県への来訪意欲及び県民の往訪意欲の喚起や、国内ハブ空港(羽田、成田、関空等)を経由した欧米・大洋州等との乗継利用を促進するなど、多様な航空需要の創出を図る。また、三大都市圏以外の地域とは、地域間流動の状況や鉄道に対する時間優位性等を勘案し、新たな地域間路線(沖縄を含む九州内路線、北陸・東北等の地域間路線)の誘致を検討する。
  • 国際線では、短期的には韓国路線の早期再開に取り組むとともに、新たに台湾、中国・香港など、東アジアとの路線誘致を検討する。これにより、東アジアのハブ空港を経由した、欧米・大洋州等との乗継需要の取り込みも目指す。また、中長期的には、経済成長著しい東南アジアとの路線誘致を検討し、今後の拡大が予想される訪日観光需要等の取り込みを目指す。

③具体的な取組

(ア)国内線の拡充

  • 県内及び就航地の観光関係者等と連携し、本県と就航先の魅力、大分路線を活用したモデルコース等についての情報を相互に発信することにより、双方の訪問意欲を喚起し、航空需要の創出を図る。
  • 観光関係者等と連携し、観光資源の発掘や磨き上げ、受入環境の整備を進めるとともに、多様化する旅行ニーズに対応した新たなツーリズムの展開を図ることにより、航空需要創出に繋げる。
  • 就航地の旅行会社や教育関係者に対し、グリーンツーリズムや県内大学への留学生との交流など、本県の強みを活かした体験プログラムを提供することにより、教育旅行等の取り込みを図る。
  • 宇宙港やホーバークラフトなど本県にしかない観光資源を活かした旅行商品の造成やブランディング、プロモーション活動の展開等を行い、新たな来訪需要を創出する。
  • 大分空港を利用する県民に対し、駐車場や空港ターミナル内店舗等における各種割引を実施するなど、県民の大分空港利用を促進し、他空港からの利用転換を図る。
  • 欧米・大洋州等からの訪日観光需要の取り込みを図るため、羽田・成田路線等を活用した乗継利用を強化する。
  • 友人・親族訪問を目的とした旅行需要などを確実に取り込むため、LCC増便等の働きかけを行う。
  • 東アジアや東南アジアの旺盛な訪日観光需要の取り込みを図るため、関空路線の誘致・活用による乗継利用を促進する。
  • 航空需要の動向や県民及び県内企業のニーズ、競合する他の交通モードの状況等を勘案し、既存路線の充実や新たな地域間路線の就航可能性について検討する。

(イ)国際線の拡充

  • 経済成長著しい東アジアや東南アジアの旺盛な訪日観光需要を取り込んでいくため、既存の韓国路線の再開と維持・拡充を図りながら、新たな定期路線就航に向けて、関係者と連携した積極的なエアポートセールスを展開する。
  • FSC[8]だけでなく、LCCの誘致・路線拡充にも取り組み、若年層や個人旅行者等を中心とした新たな航空需要の掘り起こしを図る。
  • 県内及び就航地の観光関係者等と連携し、本県と就航先の魅力、大分路線を活用したモデルコース等についての情報を相互に発信することにより、双方の訪問意欲を喚起し、航空需要の創出を図る。
  • 海外旅行博等への参加(現地の事業パートナー等の活用を含む)やSNS等を活用した情報発信、外国人留学生によるプロモーション活動などを通じて、本県の認知度を高めることにより、来県意欲の喚起と航空需要の創出を図る。
  • 海外の航空会社や旅行会社、メディア、インフルエンサーなどを招請し、大分空港を起点とした県内・九州を巡るファムトリップ[9]を企画・実施する。
  • 教育関係者や旅行会社に向けて教育旅行の誘致や学校交流、グリーンツーリズム等のプロモーションを行うことにより、新たな航空需要の創出を図る。
  • 観光関係者等と連携し、温泉をはじめ、天然自然や食、歴史・伝統文化、芸術、スポーツなど、本県が有する多様で魅力的な観光資源を活かしたカルチャーツーリズムやスポーツツーリズムなどの多様なツーリズムを推進し、航空需要創出を図る。
  • 留学生等の外国人在住者や経済団体等に対し、大分路線の情報を発信することで、友人・親族訪問を目的とした旅行需要やビジネス需要の取り込みを図る。
  • 九州各県や九州観光機構、航空会社、空港アクセス事業者、観光関係者等との連携により、県外の空港から入国した外国人観光客を本県に呼び込み、本県から出国するなどの広域周遊ルートの構築やプロモーション活動の展開を行い、大分空港への航空需要の創出を図る。
  • 国際線の定着に必要なアウトバウンド需要を確保するため、ツアー助成など県民向けの利用促進施策を検討する。
  • 欧米・大洋州等からの訪日観光需要の取り込みを図るため、東アジアのハブ空港(仁川、上海等)を活用した乗継利用を検討する。

(2)アジアと宇宙をつなぐ宇宙港の実現

①現状分析

宇宙港の実現により、産業創造、観光・文化振興、研究・教育振興が期待でき、宇宙港を核とした、県内の経済発展や賑わい創出につながると考えられる。また、中長期的には、現在の空中発射型の小型ロケット打ち上げ事業から、宇宙往還機の着陸、サブオービタル飛行や高速2地点間移動(P2P)などにも対応できる宇宙港になることが期待される。その際には、産業創造、観光・文化振興、研究・教育振興のそれぞれにおいて更なる展開が期待できる。
図18 宇宙港の実現により期待される効果
 

産業創造を通じて、将来の成長産業である宇宙産業を県内に根付かせ、他産業との連携を図っていくことにより、イノベーションの機会を創出し、非宇宙産業の成長促進につなげていくことが求められる。

また、観光面においては、宇宙港を契機とした新たな観光需要の創出や観光消費単価の増大など、県内経済の活性化が期待される。

さらに、研究・教育においては、国内外の研究機関との連携により県内に新たな研究テーマを組成していくことにより、これまでにない新たな研究活動の創出が期待されるとともに、小・中学生、高校生、大学生、社会人などに対して、宇宙港を活用した先端技術やイノベーションに関する学習機会の提供も期待される。

②具体的な取組

(ア)「有人宇宙旅行」等の将来的な輸送ビジネスに対応し得る「宇宙港」の実現

当面の宇宙港の取組は、Virgin Orbitによる小型ロケットの打ち上げ事業が中心となるものの、将来的には、宇宙往還機の着陸やサブオービタル飛行などの有人宇宙旅行を実現する機体が利用できる宇宙港として発展していくことが望まれる。
図 19 主要企業におけるサブオービタル飛行やP2P輸送への事業展開予想
 

  • 空港と宇宙港との併用運用の実現や運用体制の検討、滑走路や駐機場などの既存空港施設・設備のシェアリング、宇宙港に必要な関連施設・設備(ロケットや宇宙機の統合施設、観覧施設等)の整備が求められる。

  • 宇宙港事業を安全かつ安定的に継続できる県内のサプライチェーンの構築に取り組む。

  • 宇宙港としての大分空港を魅力的な観光コンテンツとして磨き上げるとともに、宇宙港を活用した観光プログラムを構築・展開することにより、新たな観光需要の創出や観光消費単価の増大を図る。なお、整備された施設・設備やプログラム等は、ロケットの打ち上げのほか、将来的なサブオービタル飛行の利用者、事業者、関係者等の受入れにおいても活用されることが期待される。

(イ)アジアにおける宇宙ビジネスの中核拠点化

宇宙ビジネスはそのすそ野の広さから、多様なビジネスが展開されている。例えば、ロケットや衛星の製造などのモノづくり、人工衛星から取得できる画像情報や位置情報を活用したデータビジネス、国際宇宙ステーション(ISS)や宇宙空間を使った旅行やその他のエンタメビジネス、また、月や火星などの探査・開発ビジネスなど、多種多様な企業が参画している。

  • 宇宙港を契機として、県内に宇宙ビジネスを集積させていくことにより、幅広い企業を県内に誘致し、雇用機会の創出や県内総生産の拡大などにつなげる。
  • 宇宙ビジネスは特定の国・地域にとどまらず、グローバルに展開するケースが多く、国内企業の多くは米国や英国などを中心とする海外の企業と連携しながらビジネスを拡大している。そこで、県内においても、国際的な宇宙ビジネス(地理的条件からアジアの友好国との連携も可能性が高い。)を展開できる環境整備を検討する。
  • 宇宙港を核とした県内の宇宙ビジネスの創出や宇宙関連企業の誘致を推進することにより、ビジネスの集積だけでなく、宇宙に関連した研究開発や関係国との交流・連携も併せて促進され、本県がアジアにおける宇宙ビジネスの中核拠点として認知されていくよう取り組む。

(ウ)宇宙人材の育成

宇宙ビジネスには先端的な技術が活用され、大学などにおける研究開発などとも密接に関わっている。また、小・中学生、高校生、大学生、社会人などに対しても訴求できる科学コンテンツであることから、多様なニーズに応じた学習機会の提供を行っていくことが望まれる。なお、これらの機会は、イノベーション人材の育成の場として活用することも期待される。

  • 小・中学生、高校生に対しては、理数教育、STEAM教育[10]等の推進により、本県の将来の発展を担う人材の育成を目指す。
  • 大学生に対しては、海外大学との連携などにより、多様な文化や価値観に触れ、国際的視野を育むための機会を提供する。
  • 社会人に対しては、宇宙ビジネスの活用余地や県内の他産業との連携の検討を進める機会を提供する。

(3)空港アクセスの充実

①現状分析

県中心部から大分空港までのアクセスは、国内他空港と比較すると著しく時間を要する状況となっている。また、現在、空港アクセスルートが陸路しかないため、事故や天候不良などによる大分空港道路等の通行規制時には、時間信頼性や速達性が損なわれるという課題がある。

そのため、大分空港までの速達性を高めるとともに、災害時等におけるリダンダンシー確保の観点から陸路と海路による複数の交通ネットワークを構築することが必要である。

また、大分空港から目的地までの移動において、空港利用者が所要時間や料金等を調べ、最適な移動手段の組み合せを選択する必要があるが、検索・予約・決済等に手間がかかっており、移動の利便性を高める必要がある。

さらに、空港内駐車場の容量不足や空きスペースの見つけづらさのため、繁忙期を中心に自家用車利用者が駐車に時間を要する状況がある。そのため、利用者ニーズに応じた駐車場機能の強化を図る必要がある。

②具体的な取組

(ア)海上アクセスの導入

  • ホーバークラフトの調達や発着地施設の整備など、令和5年度中の運航開始を目指した取組を着実に進める。
  • ホーバークラフト導入により、県中心部からのアクセス時間を短縮するとともに、陸路と海路の複数ネットワークを構築し、災害時等におけるリダンダンシーを確保する。
  • ホーバークラフトの速達性を活かし、近隣空港から大分空港への利用転換を図るなど、観光・ビジネスの両面から新たな空港利用需要を創出する。
  • 国内唯一となるホーバークラフトの希少性やアクティビティとしての魅力、宇宙港大分を象徴する魅力的なデザインの旅客ターミナル施設等を活かし、県外からの旅行者を中心に観光面から新たな空港利用需要を創出する。
  • ホーバークラフトとその旅客ターミナル施設については、外国人や高齢者、障がい者等を含むあらゆる利用者が安心して快適に利用できるよう、ユニバーサルデザイン化(多言語化やバリアフリー化)などを図るとともに、航空機やバス、タクシー等とスムーズに乗り継ぎできるよう施設・設備を配置する。

(イ)大分空港を起点としたMaaSの導入に向けた取組の推進

  • 空港利用者一人一人のニーズに応じたサービスを提供するため、航空・バス・鉄道・タクシー・レンタカー等の移動サービスを最適に組み合わせ、検索・予約・決済等を一括で行うことができるMaaSの導入に向けた取組を推進する。
  • 移動サービスと飲食・宿泊・観光施設等との連携により、大分空港利用者に割引やクーポン等の付加価値を提供する取組を検討する。
  • MaaS導入にあたっては、多言語での情報提供やキャッシュレス対応の決済システムなど、インバウンド需要の取り込みを見据えたサービスの提供を検討する。
  • 九州内における広域周遊需要を大分空港の利用需要として取り込めるよう、九州各県のMaaSと連携可能なシステムの構築を検討する。

(ウ)多様な移動サービス等の検討

  • 道路・公共交通機関等の交通インフラの整備・拡充や観光地へのダイレクトアクセスの整備等について、採算性等を勘案しながら検討する。

  • 空港内駐車場の利便性を向上させるため、十分な駐車容量を確保するとともに、満空情報の発信強化など、駐車場の機能拡充のあり方について検討する。

  • 空港利用者が目的や状況に応じた最適な移動手段を選択できるよう、「空飛ぶクルマ」などの次世代モビリティを含む多様な空港アクセスの将来的な導入可能性について検討する。

(4)空港機能の拡充及び魅力向上

①現状分析

空港利用者の旅客手続等に係る負担軽減や快適な空港利用を実現するため、先端技術の導入やユニバーサルデザイン化などが各空港において進められている。

また、航空機利用を目的としない人や地域住民などが、日常的に集い、楽しむことができるイベント等の開催や施設・設備の整備等に加えて、カーボンニュートラルの実現や感染症・災害等へのリスクマネジメントの強化など、空港に求められる対応や役割は多様化している。

これからの新しい時代において、大分空港が選ばれる空港となるためには、利用者の多様なニーズに応じた空港機能の拡充や空港とその周辺地域の更なる魅力向上を図る必要がある。

②具体的な取組

(ア)空港利用者の満足度向上

  • 空港利用者の旅客手続等に係る負担軽減を図るため、最先端の技術やシステムの導入等を検討し、ストレスフリーな空港環境の実現を目指す。
  • 旅客をはじめ、航空会社や空港ターミナル内店舗、更には航空機利用を目的としない地域住民など、空港利用者それぞれのニーズに応じた空港内施設・設備の整備や配置の検討を行う。
  • ターミナルビル前の接車帯における混雑解消のため、バス、タクシー、レンタカー及び駐車場送迎車両などの利用需要に応じた送迎スペース等の確保のあり方について検討する。
  • 外国人や高齢者、障がい者等を含むあらゆる空港利用者が安心して快適に利用できるよう、空港施設・設備や空港アクセスのユニバーサルデザイン化(多言語化やバリアフリー化など)を推進する。
  • 空港間競争が激しさを増す中、航空会社から選ばれる空港となるため、新たな施設・設備の導入にあたっては、整備主体と利用する航空会社等との間における費用負担のあり方を含め、しっかりと協議・調整を図る。

(イ)地域とともに進める空港づくり

  • 大分空港の魅力を活かしたイベントや地域に密着した取組などを積極的に企画・開催し、航空機利用を目的としない人や地域住民などが、日常的に集い、賑わいを創出することにより、空港とその周辺地域の活性化を図る。
  • アジア初となる水平型宇宙港の実現や国内唯一となるホーバークラフトの導入に向けた取組について学べるワークショップや展示などを行うことにより、空港における交流機会や学習機会の創出を図る。
  • 空港における本県の魅力・観光情報等の発信や県産品の販売を強化することにより、県民が身近に感じられる空港づくりを進めるとともに、本県への再訪意欲を喚起し、更なる空港利用需要の創出につなげる。

(ウ)カーボンニュートラルの推進

  • 照明・灯火のLED化や車両のEV・FCV[11]化等により、空港施設・空港車両からのCO2排出量削減を進める。
  • 地熱をはじめとした再生可能エネルギーが豊富にある本県の強みを活かし、再生可能エネルギー由来電力を活用したカーボンニュートラル化を検討する。
  • 空港内未利用地等を活用した太陽光発電・蓄電池などの導入による大分空港の再生可能エネルギー拠点化を検討し、災害時の電力供給を通じた地域の防災性の向上に貢献できる空港を目指す。

(エ)空港運営におけるリスクマネジメント力の強化

  • 新型コロナウイルス感染症対策として、紫外線照射装置や検温器、自動手指消毒噴霧器等の設置などの対策を徹底するとともに、感染症対策の取組情報を積極的に発信し、安心して利用できる空港づくりを推進する。
  • 地震や津波等の災害発生時において、空港機能・航空ネットワークの維持や早期復旧が図られるよう、事業継続計画(BCP)等に基づき、関係者が一体となって迅速に対応できる、自然災害に強い空港づくりを進める。
  • 国内外からの往訪需要の確実な取り込みや県民の移動利便性の向上を図るとともに、様々な環境変化によるリスクを分散させ、持続可能な空港運営を実現するため、国内線・国際線双方の路線多角化を目指す。

6. 目指すべき将来像の実現に向けた戦略的な空港運営

大分空港が目指すべき将来像の実現に向けた4つの施策展開の方向性に沿った取組を推進するためには、戦略的な空港運営体制の構築が不可欠であることから、以下により体制構築を進めていく。

(1)関係団体との連携強化

4つの施策展開の方向性に沿った取組を確実に推し進め、地域への波及効果を最大化するためには、行政、空港ビル運営会社、空港アクセス事業者、経済団体、観光関係者等の関係団体が緊密に連携し、大分空港が目指すべき将来像の実現に向けた取組を、機動性・柔軟性を持って推進していくことが必要不可欠である。

(2)コンセッション方式の導入検討

全国の空港では、民間のノウハウや資金を活用し、一体的・戦略的な空港運営を可能とするコンセッション方式の導入や導入検討が進められている。先行して導入した空港においては、滑走路等の航空系事業と旅客ターミナルビルや駐車場等の非航空系事業を民間が一体的に運営することにより、空港運営の効率化が図られるとともに、着陸料などの柔軟な設定等を通じた航空ネットワークの拡充や、空港施設の拡充等を通じた空港利用者の利便の向上、乗降客数・内外の交流人口の拡大等を通じた空港とその周辺地域の活性化が図られている。
図 20 大分空港におけるコンセッション方式の導入イメージ
出典:国土交通省のデータを基に大分県作成

 

大分空港においても、現在は、滑走路など空港の基本施設は国、旅客ターミナルビルは大分航空ターミナル株式会社、駐車場は一般財団法人空港振興・環境整備支援機構と、各施設の運営主体が異なるが、民間の創意工夫を活かした一体的な空港運営を実現することにより、路線誘致やアクセス改善、活性化投資などの取組が機動性・柔軟性を持って推し進められ、空港利用者の利便の向上や空港・地域の活性化に寄与することが期待される。

そこで、本県は、令和2年4月に大分空港におけるコンセッション方式の導入可能性調査を国に依頼し、令和4年1月に国からその調査結果が示された。

当該調査において実施された民間企業へのヒアリングでは、大分県及び大分空港のポテンシャル等が高く評価され、コンセッション事業への参画意欲を示す回答が多くあった一方、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化等により、事業の将来性等を懸念する回答などもあった。

そのため、今回の国の調査では、以下の①③について整理できれば、大分空港においてコンセッション事業が成立する可能性が十分あり、大分県と連携して、引き続き、事業スキームを検討していくとの結果が示された。

①一体化収支の検討
パンデミックや災害等のリスクも踏まえて一体化収支予測の検討を行い、独立採算型のみならず、国が運営費用の一部を負担する混合型の事業スキームも含め、更なる検討が必要。

② リスク分担の取り扱い
コロナ禍のような極端な需要変動リスクについて、国・運営権者で適切に分担するスキームが必要。

③宇宙港の取り扱い
宇宙港構想については、新たな空港利用者の増加や地域活性化等、空港運営事業との相乗効果が期待される一方、宇宙港としての運用が空港運営に与える影響について整理することが必要。

以上を踏まえ、本県においても、今後の国の検討状況等も踏まえながら、大分空港へのコンセッション方式の導入について、引き続き検討を行う。

仮に、大分空港にコンセッション方式を導入する場合には、本ビジョンをはじめ、「大分県ツーリズム戦略」や「大分県海外戦略」などを踏まえた事業スキームの設計や提案が行われるよう、本県から国や民間事業者に対して、積極的に働きかけを行う。

また、県内企業が運営権者の一員として大分空港の運営に参画することにより、新たなビジネス機会の創出や地域経済の発展に寄与することが期待される。

さらに、事業スキームの検討にあたっては、持続可能かつ魅力的な空港運営が可能となるよう、県内外から多くの人が集い、賑わいを生み出す集客施設としての空港活用のあり方の検討や、運営権者と行政、空港アクセス事業者、経済団体、観光事業者等の関係団体による緊密な連携体制の構築が必要である。

なお、宇宙港との併用運用を目指す大分空港におけるコンセッション方式の導入は、今後、極めて先進的なモデルケースとして、大いに参考になるものと考えられる。

7. 大分空港・宇宙港将来ビジョンの実現に向けて

本ビジョンは、大分空港の現状や空港・航空業界を取り巻く環境変化を踏まえつつ、大分空港が目指すべき将来像やその実現のための施策展開の方向性、また、施策展開の方向性に沿った取組を推進するための空港運営のあり方について取りまとめたものである。

今後は、本ビジョンの実現に向けて、行政と航空会社、空港アクセス事業者、経済団体、観光関係者等の関係団体が、各々の立場において本ビジョンに基づく取組のうち、実施可能なものから速やかに実施していく必要がある。また、相互に連携・協働が必要な取組については、適切な役割分担の下、機動性・柔軟性を持って実施することにより、相乗効果が最大限発揮されることを期待する。

また、本ビジョンに記載している取組を確実に推進していくためにも、進捗状況等について適宜フォローアップを実施するとともに、大分空港を取り巻く環境変化や取組の進捗状況等を踏まえ、必要に応じて随時取組の見直しを行うこととする。

なお、大分空港へのコンセッション方式の導入については、国における検討状況や県民の意向等も踏まえながら、引き続き検討を実施する。


  1. Low Cost Carrierの略。低コストかつ高頻度の運航を行うことで、低運賃の航空サービスを実現する新たなビジネスモデルを採用した航空会社のことをいう。 ↩︎

  2. 旅客の保安検査において、非接触・短時間で効果的に人体表面の異質物を検出できる全身検査装置。金属探知器と異なり、金属に加えて薬物や液体等さまざまな非金属製の持ち込み禁止物も検知できる。 ↩︎

  3. 上陸審査待ち時間を活用して前倒しで個人識別情報(指紋及び顔画像)を所得するための機器。 ↩︎

  4. Common Use Terminal Equipmentの略。各航空会社が共同使用できるチェックインシステムのことで、1つの端末で各航空会社のシステムへの接続が可能となるため、チェックインカウンターの共通化が可能となる。 ↩︎

  5. Mobility as a Serviceの略。地域住民や旅行者1人1人のトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスのこと。 ↩︎

  6. 地上から出発し、一般的に宇宙空間と定義される高度100km程度まで上昇後、地上に帰還する飛行。宇宙空間での滞在時間は数分程度。 ↩︎

  7. 地上から発進し、宇宙空間に到達した後、地上に帰還するタイプの宇宙機。 ↩︎

  8. Full Service Carrierの略。座席指定や受託手荷物、機内サービスなどがあらかじめ運賃に含まれているため、LCCに比べて割高であるが、欠航時の補償が受けられ、チケットの払い戻しもするという、従来型のサービスを行う航空会社のことをいう。 ↩︎

  9. Familiarization Tripの略。観光地の誘致促進のため、海外旅行会社の旅行事業者や海外メディア、ブロガーなどを招請する視察旅行のこと。 ↩︎

  10. 科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)に加え、芸術、文化生活、経済、法律、政治、倫理等を含めた広い範囲(Liberal Arts)でAを定義し、各教科等での学習を実社会での問題発見・解決に生かしてしていくための教科等横断的な学習。 ↩︎

  11. Fuel Cell Vehicle(燃料電池自動車)の略。 ↩︎