筆島海岸の山は海に向かって高まり、陸地は波で削られ出来た海食崖の地形で出来ています。古火山の一つ、筆島火山は数十万年前には沖合に高さ1.000mを超える大型の成層火山島が存在していたそうです。筆島海岸の海食崖の海抜二百数十m以下の部分に古火山筆島火山の残骸が露出し、50本以上の岩脈がこの海食崖を貫いています。

高さ30mほどの筆島は、筆島火山の火道を埋めた凝灰角礫岩(噴火で放出された岩石破片)が海食から取り残されて離れ岩となったものです。

近辺のカキハラ磯付近の地面には、スコリアを核とした火山豆石が多く見られます。これはカキハラ磯の沖で起こった水蒸気爆発で生じた火山豆石と火山豆石の堆積物(火山豆石凝灰岩)で、他に貴重なボムサッグも見られます。この景観は子孫に残す遺産です。

筆島海岸は「東京の史蹟名勝」「日本の渚百選」に指定されている景勝地です。

 

筆島と筆島海岸

筆島と筆島海岸の海食崖

筆島

筆島海岸の海食崖

筆島海岸の海食崖

カキハラ磯のボムサッグ

カキハラ磯の火山豆石

 

関連情報


  • 「筆島(ふでしま)」(伊豆大島ジオパーク公式サイト/伊豆大島ジオパーク推進委員会)

大島火山よりも古い時代には3つの火山(岡田火山、行者の窟(いわや)火山、筆島火山)がありました。

筆島火山は最も古く、240万年から数十万年前に活動していたと考えられています。

筆島は、筆島火山の火道にあった角礫岩(かくれきがん)の残骸です。筆島付近の海食崖(かいしょくがい)には筆島火山の岩石が露出し、そこには岩脈が数多く貫いています。下部には海食洞もあります。

このように、火山は活動を終えると、長い間には侵食などによって消滅していきます。

  • 「神の宿る岩(筆島)」(伊豆大島ジオパーク(外周編)パンフレット/伊豆大島ジオパーク推進委員会)

数10万年以上前の古い火山の中心部にあった硬い岩が、周りを波に削られて尖った形になりました。荒波に耐える「筆島」の姿は、昔から“神の宿る場所”として崇められてきました。

  • 「筆島」(iアプリ「伊豆大島ジオパークガイド」/大島観光協会)

海から突き出た槍は、かつての火山のマグマの通り道。

海から突き出た岩は、筆のようにも見える不思議な形をしています。 これは、数十万年以上も前に活動していた筆島火山のマグマの通り道で固まった岩石です。対岸の赤い崖は、かつての筆島火山の内部の断面です。縦に伸びる灰色の板のような岩石は岩脈(がんみゃく)と言います。これは、マグマが地下の弱いところを上がってきて、かたまったものです。

これらは、すべて波が削って作った火山の残骸です。普通は直接見ることができない火山の中身を観察することができる筆島周辺は、地形そのものが火山の解剖見本のようになっています。

 

交通


大島バス
波浮港ライン「セミナー入口」停下車、徒歩17分。
「元町港」停~「セミナー入口」停間の所用時間は、おおむね42分、岡田港からの場合は元町港で乗り換え、岡田港~元町港間の所要時間は、おおむね20分。
問い合わせ:04992-2-5522
駐車場・トイレ有。