伊豆大島にはべっこう漬けという名物がある。
白身魚の切り身を醤油、酒、みりん、島唐辛子などの調味料にべっこう色に
なるまで数十分間漬けたお刺身である。いわゆる「ヅケ」というやつだ。
べっこう漬け大島では旅館の食事や料理屋など、いたるところで食べることができる。
今回の旅では元町港近くにあるスーパーベニヤでとても美味しいべっこう漬けに出会った。
2013年9月、スキューバダイビングのサークルメンバー十数名で合宿で大島を訪れ、
台風が接近していた大島の海と山を満喫したのだった(ダイビング部、山に登る)。
合宿の最終日、スーパーベニヤに宴会用の食べ物や飲み物の買い物に来たところ、
チームの後輩との何気ない会話から、合宿にもう一つスパイスが加わった。
「そういえば、まだ島の名産とか食べてないですよね!えっと、島寿司?だったか、魚の刺身を漬けたような名物ありませんでしたっけ?」
あぁ、べっこう漬けのことね。
そう思って、海鮮物コーナーへ向かい陳列棚を見渡す。
すでに閉店間際だったためか、刺身類はほとんど残っておらず、べっこう漬けも見当たらなかった。
海鮮コーナーの裏で店じまいの作業をされている最中の調理士の男性に声をかけてみた。
「すみません、先ほど売り切れちゃったんですよ。明日のお昼頃とかであればご用意できると思います。お時間の指定もできますよ。」
さて、どうしようか。
翌日は朝から潜った後、おそらくばたばたと準備をして船に飛び乗ることになりそうだ。また、ジェット船だからおそらく出航は岡田港になるような気がする。
団体で行動していることもあり、おそらくこっちまで移動する時間はなさそうだ。
といった事を話して、今回は諦めますと言おうとした矢先、
「あ、じゃあ今から作っちゃいます。ちょっと待ってて下さいね!」
そう言って、まず店内フロアに出て、
「刺身パックってどこにあったっけ?今からべっこう漬け作りたいんだけど。」とレジのおばちゃんに聞きながら、走り回ってくれたのだ。
なんだかスーパーの人たち皆がこの一品のために尽くしてくれたような気がして、とても嬉しかった。
お兄さんは容器などを手に入れて調理場へ戻り、残っていたイサキをさばき始めてくれた。
「べっこう漬けは白身魚であれば何でも作れるんです。でも赤身魚で作っても美味しいんですよぉ。ちょっと色がイマイチですけど!」
笑いながらべっこう漬けの説明もしてくれて、すごく馴れた手つきで、あっという間に切り身が人数分出来上がった。
冷蔵庫から寸胴鍋を取り出して切り身と漬け汁を容器に入れて完成。漬け汁がこぼれないよう、何重にも包装してくれた。
「大体、40~50分くらい経ったら食べごろですので、汁を捨てて下さいね!浸かりすぎるとしょっぱくなるので!それではどうもー、あざーっす!」
カッコイイなぁ。
ちょうどよく使ったべっこう漬けはあっという間に部員の腹へ吸い込まれることになる。
「酒が欲しくなる!」といった声が多かった。しょうがないねぇ、酔っ払いたちは。
次は「御神火」あたりもベニヤで買おうか。魚は何がいいだろう。
大島で揚がる魚の旬はベニヤのHPで一目瞭然である。
島の人の生活を支えるだけでなく、観光客をもてなすこともできる素敵なスーパーが大島にはある。
スーパーベニヤ 旬の魚・一覧