インドの天文台にちなんだ名前なんですって

「うちの息子(21歳)も子どもの頃よく滑ったよ」

「え?そんな昔からあるの?この滑り台」

「うん。桂市長のときだったと思う。ノグチがここに置きたいって言ったので、市長がご英断だったとかきいたなあ。ほら、道路を塞いじゃった。だからここだけ公園の区画が二倍なんだ。8丁目はね、ビヤガーデンのときサッポロだから、保育園の帰り、子供にはこの滑り台で遊んでもらって親たちは一杯なんてのもの結構楽しんでた」。

イサム・ノグチ作のブラック・スライド・マントラが大通公園に出現したのは1988年。27年前のことだ。

 

 

「美術品が街の真ん中で車用の道路を塞ぐって良いわよね」

「そう。良い街でしょ。それも、子供の滑り台。ノグチは後ろの白い滑り台を気にって、それとの位置関係でここって言ったみたい。おかげで、あの白い滑り台も壊せなくなった。あの滑り台、僕ら子供の頃には札幌中の公園に有ったんだよ。すごく懐かしい。街の真ん中で保存されるなんてね」

関西からのお客様と、友人の息子の滑り台デビューをみながらゆっくり話した。

 




そして、6月になると、9丁目の水遊び場に水が入る。札幌の6月は決してあつくないのだけど、まちきれない親子がぱしゃぱしゃ。
街の真ん中で、こんなに楽しい子どもとの時間があったことをまた思い出した。




 6月の札幌の夜明けは早い

夏至の前後の日の出は、午前4時前だ。真西よりもずいぶん北の方から太陽が上る。ホテルの部屋のカーテンをしないで、早く眠った翌朝に、自然に明るさで目が覚める。

 町の中心部の大通公園、人通りはほとんどなく、朝露が光っている。5月下旬から、6月の頭にかけては、札幌の木、ライラックの花が咲いていて、酸味のある香りがする。花壇の花が輝いて見える。

 時間が進むと噴水が始まる。それまでは、水の音もなく、車の音もなく、鳥の声がよく聞こえる。7時ぐらいからだった かな。あと、芝生に水をやるスプリンクラーも動き出す。西に向かって歩くと、後頭部に日射しが暖かい。噴水と公園一面のスプリンクラーに虹がかかるのを ぼーっと見ながら、ベンチに座り続けたり。

 彫刻や、芝の緑を楽しみながら、大通公園の西へ進むと、石造りの建物の手前に、裸婦の彫刻と幾何学的なヨーロッパのカナルを模した水とタイルの道。そこに多種のバラが咲いている。この香りもたまらない。

 大通公園は1ブロックが、100メートル。1丁目から13丁目まで、歩いて、1.4キロメートルぐらい。そこを1時間ぐらいかけてゆっくり往復すると、 かなりいい運動になる。バラの庭を越えて、石造りの建物の裏には、けっこう落ち着く森がある。ここのベンチに座り、すぐ横のコンビニエンスストアで買った お茶とサンドイッチで、早い朝食もなかなかいい。

 疲れたら、南に下がって、西15丁目電停(路面電車の停留所)、中央区役所電停から市電(始発6時24分ごろ)で、または西11丁目駅から地下鉄(始発6時13分)で大通まで帰るのもいい。