「甘くておいしいですよ!」

 

3年次 梶 麗奈

   こう言われて、あなたははちみつを買いたいと思いますか?

 

 

「おいしいですよ!」といっただけでは伝わらない

 

人にアピールするというのはとても難しい。

 

「甘くておいしいですよ!」

「とても健康にいいですよ!」

 

声を張り上げてみても、なかなかお客さんは近づいて来てくれない。

 

どうしてだろう。こんなにおいしいのに。

食べたらきっと好きになってもらえるのに。

 

少し自分なりに考えてみた。

お店のレイアウトが悪かったのだろうか。

いや、はちみつと一目でわかるように工夫したはずだ。

では、アピールはどうだろう。

どんなに良い商品だと自分が知っていても、ただ「おいしいですよ!」といっただけでは伝わらないのではないか。

変な話だが、聞いている側からすれば、もしそこに市販の中国産のはちみつがあっても同じ「おいしいですよ!」という売り文句をいってきているのではと思うだろう。

 

なるほどな、と思った…。

 

授業でも触れられた商品にどんなオリジナルの価値があるのかを知らなければ、まず興味を持ってはくれない。

やはりアピールするならば、自分たちにしかないポイントを伝えていくべきなのだと思った。それがなければ、スーパーに売っているはちみつとなにも変わらないのだから。

 

「学校で養蜂しました!」

「純度100%の天然はちみつです」

「他にない珍しい種類のものもありますよ」

 

さっそくアピールを変えてみた。

けれど、お客さんはなかなか歩みを止めてくれない。

何を売っているのか、という様子でちらりと覗くことはあっても、すぐにその場を離れて行ってしまう。

なぜだろう。積極的にはちみつの試食を勧めてくれた子もいたし、お店の売り込みとしては申し分ないように思えた。

 

その日は朝から喉の調子が悪く、声を出すのにどうしても限界があったため、お店の外へ回ることができなかった。けれど衛生面にはしっかり注意していたし、お客様と話すときは丁寧に、ハキハキと話せていたと思う。

確かに、最善を考えるならば、ブースの外側でアピールするのがベストだっただろう。

しかし、出たところで何かが変わるかといえば、そもそも人通りが多くなかったため、効果は薄いことに気付いた。その場で人の流れをどうにかしようと思ったところで、いないものはいないし、何ができるわけではない。

それに、来ている人が必ずしもはちみつを必要としている人ばかりとは限らないだろう。むしろ苦手な人だっているかもしれない。。

要はそこに、はちみつを求めてくれるお客さんを増やそうと思ったなら、事前にお店の認知が必要になってくるのだ。

 

オータムフェストの中でも賑わっている会場を考えてみればよくわかる。テレビで大々的に取り上げられ、どんな背景があるかを丁寧に紹介され、多くのお客さんはどこのお店がおすすめかを事前に知ってからやってくる。

 宣伝を見ていないとしても、誰かからオータムの評判を聞いたり、前年に訪れてよかったからという人がほとんどだろう。そこには必ず、広報や毎年の積み重ねといった要素が隠れているのだ。

 

なるほどな、と思った…。

 

 

発信していくことの価値はとても大きい

 

やはり本校のブースでも、来てくれる大半のお客さんは、

 

「前に食べておいしかったから、今年も」

「知り合いに勧められて」

「ホームページで知って」

 

 など、学校の魅力を知ってくれている方ばかりだった。その背景にあるのはもちろん、メディア局や先生方などが学校で行ってくれている広報活動だ。

ホームページや広告などの情報があることで、初めてお客さんはそこに商品があると気づくことができる。

逆の言い方をすると、どんなにはちみつのお店を知りたいと思っている人がいても、それがなければ知る手立てがないということだ。

 発信していくことの価値はとても大きいのだなと痛感するとともに、どんなに頑張ってもその場でアピールすることには限界があること、商品を広めていくことの難しさに触れた気がした。

授業で「美味しいのに売れないお店は広報の段階に問題がある」という話を聞いたけれど、今回の体験でその通りだと身をもって知った。

 

「チャレンジ」することの大切さ

 

絶品の菓子店でも、何もないブースにぽーんとお店を放り出したところで、まず売れない。お客さんの口コミやホームページ、TVなどのメディアを活用して、様々な努力の積み重ねでお店を大きくしていく。きっとそれがマーケティングであり、商売なのだ。

 もし私がビジネスをすることになったとき、関わりをもったとき、きっとこの経験が何かに活きてくるのだろう。もちろん、必ずしもビジネスである必要はない。こういった試行錯誤の蓄積が、人を少しずつ大きくしていくのだ。

私自身、いろいろ考えながらものを見ることで、普通に生活していてはまず気づかないようなことにも気づくことができた。

貴重な体験ができてよかったと思ったし、この「チャレンジオータム」を通して、「チャレンジ」することの大切さを改めて感じた。