こちらで かねひろ亭 を記述

 

残念ですが、現在営業されていないようです。

 

 

営業時間 17:00~22:00
定休日 月曜日(祝日の場合は営業し、翌日が休み)
住所 札幌市中央区南6条西23丁目5-12
座席 40席
電話 011-561-4129
交通アクセス
地下鉄東西線「円山公園駅」徒歩12分。駐車場10台有
 

 「うわ、なつかしい」。店に入った瞬間の空気、ほのかに甘いタレの香り。座敷の広さ。そう、小上がりと言わず、座敷という。笑顔のかあさん(女将)にうながされて、一番落ち着く奥の席に陣取る。円山界隈にいい店を見つけた。

 「あれ、僕、絶対、昔、ここに来ている。親爺と一緒に」。30年以上続く老舗。肉を食べる と、ほんとうに懐かしく旨い。子どものころ一番のご馳走だった「理想のジンギスカン」の味がする。最近はしゃれて「生ラム」のジンギスカンが増えた。これ はもちろん旨い。そして、昔、家で食べたのは、冷凍の円形のスライスの肉。これを「ベルのタレ」で食べる。これも旨い。そして、この懐かしいタレに漬けた 肉。子どものころ、家族で出かけたジンギスカン屋さん。我が家、最高の贅沢で食べたお店の味。最高に旨かったのを長いこと忘れていた。

 とっても可愛くて素敵な女将。「旨い、旨い」と声を上げて食べていたら、座って相手をしてく れた。この人の顔をみているだけで、疲れが取れるようだ。「お客様が大好きなんです」と言って、たくさん話を聞いてくれたり、してくれたり。味噌汁は新潟 の味噌。好みで山椒をふってくれる。おにぎりの海苔は有明。若い頃に全国旅をして、その中で見つけた旨いものを集めて店で使っているという。味噌汁もおに ぎりも最高だ。

 今度、道外から遊びにくる友達、いや、札幌の友人にも「ジンギスカン食べたい」と言われたら、この店に来てしまうだろう。食べた翌日、またすぐに行きたくなっている自分に気づく。

(2009年6月1日・杉山幹夫)

 

 

「まるで、まぐろの漬けを焼いているみたいだね」と、もうすぐ食べごろの肉。焼き目さえつけばレアの方が柔らかくて旨い。タレに漬け込んだタイプの肉。札幌の人間にとっては懐かしい味のジンギスカンだ。女将とスタッフの相当な手間がかかっている。タレは肉の状態に合わせて毎日調整しているという。漬かりすぎず、羊臭さを感じさせない日本人好みの味。羊嫌いの人もためしてほしい。僕はつい、2人前頼んでしまう。モヤシのヒ ゲ根は丁寧にとってあるので、とても食感が良い。これ、結構大事なジンギスカンの流儀。女将は「モヤシのお掃除」という。

 

肉は焼いてそのまま食べるのが旨い。ところが、女将が「卵お好き?」と聞いてくれたので、「はい」。すき焼きのように野 菜用のタレと生卵に絡めて食べると、またひと味。すき焼き風ジンギスカンだ。この肉は毎日準備される。かたまりから丁寧に筋が取り除かれて、最後にスライ ス。美しく、旨く調整されていた。

 

これは楽しい。ジンギスカンに合うようつくったという、函館近くの乙部町の「ミスタージンギスカン」。なんか笑ったけ ど、まあ旨い。肉を焼きながら、鍋にちょっとかけてみた。じゅーっ。鍋からワインの香りがたち、鍋を綺麗にしながら、縁の溝に落ちる。煮詰まったワインと 肉汁をソースにじゃがいもや肉をつけて食ベル。そこで、ワインを飲むと、また旨い。一本1,000円。

 

閉店過ぎてもずっと話をしてしまったので、広い店には私たちだけになってしまった。

 

品のいい看板を見て「高級そうで、入れないと思ってた」「3年ぐらい、どうしようかと思ってたけど、意を決して入った ら、安くて、美味しくて、びっくりした」という客が何人もいるという。ジンギスカン1人前は肉と野菜がついて850円。10人以上揃って予約すれば、2時 間、食べ飲み放題を1人3,800円でできる。
以下各1人前、ラムしゃぶ1,200円、牛しゃぶ2,900円、すき焼き3,000円。この他に、焼き餃子480円、かにしゅうまい600円など、全て手作りの料理を目当てに来る客も多いという。

 

家庭では、絶対に再現できない味だけど、家に帰ってきたように落ちつく店と女将の笑顔。「お味噌汁に山椒を振っていいか しら?」と話し出したら、楽しさが止まらない。出されたものはお茶1つまで、客を唸らせる。スタッフはみんな素敵な女性。女将と同じようにいい笑い声が響 く。座敷に簡易な椅子があり、小さな子供や膝の悪い人でもゆっくりできるように工夫されていた。