合同記者会見

 今年度、大通高校のハチミツを使用した甘酒が開発された。協働したのは、兵庫・灘で三百年続く老舗酒蔵「沢の鶴」と、「SDGs未来都市」である札幌市。私は、この甘酒の発表記者会見に挑戦した。

 その一か月前から、記者会見の原稿を作るため、情報収集を始めた。ミツバチプロジェクトに関わる先生や生徒を取材し、インターネットや本からも、養蜂やミツバチに関する知識を蓄えた。

 原稿を作ることより、情報を得ることに時間を費やした。自身の情報不足を実感していたからだ。記者会見で何か質問された時、答えられないという状況だけは避けたかった。ミツバチプロジェクトという素晴らしい活動を、「素晴らしい活動」として、聞く人に実感してもらいたかった。だから、何を聞かれても答えられるように、魅力を十分に伝えられるように、入念に準備を行った。

「伝える」ことへの不安

 しかし、本番を迎えるまで、「これで足りるのだろうか」「これでちゃんと伝わるだろうか」と不安があった。

 結果的に、記者会見は成功といえる形で終えられたと思う。伝えたいことを詰め込んだ原稿をきちんと自分の言葉として語ることができたし、記者からの質問にも答えることができた。

 やっと安心できたのは、すべてが終わってからだ。本番前には、全く自信がなかった。私が自信を持って本番に臨むためには、あとどれだけの知識が必要だったのだろう。

情報収集で求めるもの

 この時、初めて、情報収集の大変さを実感した。情報は、探そうとすれば限りなく湧いて出てくる。一生かけても私はすべてを知り尽くすことができない。情報に終わりはない。必要な量もわからない。では、情報収集においては何を求めれば良いのだろうか。

 私なりのその答えは、「情報の重要性」だった。記者会見のために私が収集した情報の中には、重要性が低いものもあれば、当日記者から質問を受けたような重要性の高い情報もあった。私が記者会見を成功させられたのは、重要な情報を持っていられたからだと思う。つまり、「量より質」なのだ。価値のある情報と、無くても良い情報。これを見極め、価値のある重要な情報を求めることこそが、情報収集において大切なのだと思う。

この実践の「価値」

 記者会見に参加しなければ、このことには気が付くことができなかった。このことに気が付かなければ、今後、どこかで失敗していたかもしれない。今後得られたはずの学びを得ることができなかったかもしれない。それがこの実践の価値だったのだと思う。もし私がこの記者会見にいい加減に取り組んでいたら、何も学ぶことがなかったら、この実践に価値は生まれなかっただろう。主体的に、意欲を持って取り組んだからこそ、私は自分の実践に価値を見出し、ここでしか得られなかった学びを得ることができたのだ。

これからも、「価値」を持って

 これからも、私は様々なことに取り組んでいきたい。その度に、しっかりと考え、振り返り、自分の行動や活動に「価値」を持っていきたい。いつか、それが自信になるかもしれない。それが説得力となり、誰かに何か大きなものを伝えられるようになるかもしれない。そう自分に期待したい。