生活者として旅をする。そんな贅沢な旅ができました。

 

新千歳空港から札幌市へ

寝坊しそうになりながら成田空港から乗った早朝のLCCで新千歳空港へ。

新千歳空港からは朝イチの快速エアポートに乗車。自動放送が流れてくる。男性の落ち着いた,しかし,車内の喧騒に負けない声。この自動放送を聞いて,私は「あぁ北海道にきたな」と感じた。日本中どこに行っても車内の自動放送は女性の声であることが多い。だからこそ,この声を聞くと北海道を感じる。

 

ドニチカキップと東西線(新さっぽろ〜大通)

札幌まで乗り通そうと考えたが,新札幌から東西線に乗れることを思い出し,新札幌で下車。地下鉄に乗り換えようとするが,少し迷った。

ドニチカキップを購入。520円。ということは,長距離なら往復で元が取れ,短距離でも3回乗れば元がとれる計算だ。無論,今日中に全路線に乗ろうとしている私にとってみればとても安いきっぷである。

さて,東西線に乗車。待ち合わせの相手との待ち合わせ場所がすすきの駅に決まったので,まずは大通駅を目指す。大谷地・東札幌など,旧千歳線にあった駅名を聞くも地下なので,何かを感じることは難しい。そんなこんなで大通駅に到着。南北線に乗り換えてすすきのへ。

 

どサンこパスと市電,中島公園

すすきのに到着し,恩師であり,親のようであり,あるいは祖父のようであり,しかし友人であるような方と再会。札幌の地で会うのは初めてでとてもうれしい。今日は彼に札幌を案内してもらう。ただの観光,ただの物見遊山ではない旅になりそう。なんとまぁ,贅沢な。

さっそく,札幌市電に乗車するためにすすきの電停へ。しばらくすると,市電がやってきて交差点で右にカーブしこちらに向かってきた。まずは中島公園通電停で下車。下車するさいにどサンこパス(400円)を購入。2回乗れば元が取れる。ど(土)サン(SUN=日曜日)こ(おとな1人が買えばこども1人は無料)という意味だそうだ。

中島公園に入り,札幌軟石でできた豊平館の美しさに見とれ,自然の川,創成川の流れを見て,その先には豊平川があることを聞く。なるほど,ここは文字通り,川の中にある島だと知る。中島公園の周囲には札幌パークホテルなどいくつかの高い建物が建っている。しかし,なんというかほどよく建っているなぁ,というのが私の感想である。都市にある公園として背景の高層ビルがほどよく馴染んでいる。なにもないと都市にいる感じはしないし,高層ビルが多すぎると都市に埋没しています。そうではない,その中間のほどよい感じがここにはあった。

公園を半周して,行啓通電停から乗るか? と提案されたが,こちらの「全部乗る」事情(笑 によって公園を一周して中島公園通電停まで戻る。

 

閉館中だった埋蔵文化財センター

次に中央図書館前電停へ。豊平川の土手が幌南小学校前電停にかけて迫ってくる。そこから右に曲がり,ぐんぐんと山が迫ってきていた。なるほど,市の中心部から南西側にある藻岩山豊平川の間にある地域を走っているがためにこのような形になっているんだなと実感。この地形だからこそ,このような環状運転の市電の走り方がちょうどいい。

本来であれば埋蔵文化財センターに訪れるはずが,工事中で入れず。残念だが,また札幌に行く理由ができた。

 

電車事業所

そして歩ける距離だが(事情(笑 により,)1区間だけ市電に乗り,電車事業所前へ。見学時間の前だったので,車庫にいる路面電車を眺めたのみだが,楽しい。いろいろな都市で路面電車に乗るが,市街地にこういった路面電車の車庫がある風景がいつも面白いなと思う。都市を移動するには交通機関が必要だが,その車庫はどうしても必要になるし,どうしても路面電車の場合は市街地に車庫ができる。それを都市空間のどこにしまっているのかが興味深いのである。

 

西側でのラッシュと札幌市資料館

さて,藻岩山ロープウェイに行こうとするも強風のため,運休という車内アナウンス。残念だが,車内でアナウンスしてくれるのはありがたい。

そのまま市電に乗っていると徐々に混んできて満員電車に。どうも,このあたりからは今乗っている方向の方が中心部に行くのに近いので,一種の都心方向へのラッシュということらしい。土曜日の午前中にここまで混雑するのか……と驚いた。

そして西15丁目電停で下車。周囲を見渡すと大病院が並んでいた。

そして札幌市資料館へ。公園のようなところに踏み入れたが,ここも大通公園らしい。私の中では東西にここまで長く大通公園が広がっているイメージがなかったので,これまた驚き。札幌市資料館はもともと札幌控訴院,つまり裁判所だった建物で,中には法廷が復元されている(刑事法廷展示室)。中央の判事席に座り,裁判長気分を味わう。こんな気分をこんなに気軽に感じられる場所が無料で開放されているとは……こんな場所は普通に観光していたらなかなか入ることはないだろう。生活者とともに旅をするといろいろと見えてくる(でも,私は東京をそうやって案内できるだろうか??)。贅沢な旅だ。

 

教文キッチン ヴィスタ

公園を北に抜けて,札幌市教育文化会館へ。正午前だが,ここでランチタイム。館内の2階にある「教文キッチン ヴィスタ」へ。こういった公共施設にレストランはあるが,とりあえずレストランがありますといった程度のところが多いイメージ。なぜ,私をここに連れて行ったのか疑問であった。

注文は美人ランチの「牛肉の赤ワイン煮込み熱々土鍋仕立て定食」。まぁ,私が美人になってもしょうがない気もするが,勧められるままに。

しばらく待って,料理が運ばれてくる。いい匂いだ。先にスープをいただく。札幌黄と呼ばれる玉ねぎを使っているスープで,本格的にランチを食べる準備としておいしくいただく。

メインの「牛肉の赤ワイン煮込み熱々土鍋仕立て」をいただく……後味にコクがあり旨い。普通のビーフシチューは赤ワインの味が後に引き,それはそれで美味しいのだが,その酸味とは違う後味(ご飯によく合う)。どうやら,隠し味に八丁味噌とオリゴノールを使っているとのこと。なるほど,このコクはこうして生まれていたのか……肉もとても柔らかい。洋食屋に行くと2,000円も3,000円も取られそうな味だが,たったの1,080円。お値打ちとはまさにこのことだろう。公共施設内のレストランを侮っていた。こういったレストランもやはりただの観光客だと見つけられないだろう。重ね重ね贅沢な旅だ。

 

町村農場の牛乳

さて,西15丁目に戻る。混雑している市電に乗り込み,西4丁目電停で下車。こことすすきのがつながって市電は環状運転できるようになったのであった。

そのまま大通公園方向に向かい,通り過ぎて大通ビッセへ。ここで町村農場の牛乳を飲む。紙パックのを2人で分けて。なんとなく牧草の味を感じる味わいだった。この牛乳がこの先の旅につながっていく。そう,地下鉄の旅に戻って最初に向かうのは真駒内。この町村農場の創始者である町村敬貴氏が生まれた地である。

 

一周完乗! そして地下鉄へ……

西15丁目電停に戻り,すすきの電停へ。これで環状一周したことになる。ただ,交通量も多くなかなか右折できないからか徒歩とどちらがはやいのかなと考えた。

なお,この新設区間はこれまでの区間と異なり,歩道と車道の間に路面電車の線路がある(他の区間は道路の中心が路面電車)。歩行者にとっては歩道から車道を横断せずに電車に乗れるので便利である。

 

いよいよ,市電の旅を終えた我々は地下鉄の旅を再開することになる。真駒内・麻生・宮の沢・栄町・福住……まずは真駒内に向かうことになった。長くなってきたので記事を分けようと思う。