大学での専攻は
お米、イネのデンプン合成をやっていました。応用生物学科で生化学の分野です。食品に興味がありました。実は食品の研究室は人気があって、入りにくかったんですけど、生化学の部屋でも食品の勉強ができて、それがかえって道になりました。デンプンを作る酵素がイネの中にあるのですが、ちょっとずつ働きの違う酵素が、ちょっとづつ作用しあってお米の特徴が変わるのですね。例えば、もち米の場合はアミロース酵素が作られない変異体と呼ばれています。
アミノアップとの出会いは
本当にたまたま求人サイトで見つけたのですよ。すごく特徴があって、きになる会社でした。大学時代に使ったことのある、一般的ではない装置があるって書いてあったので、これには驚きました。企業にあると思っていなかったのです。質量分析装置と言って、地球の重力の影響がない状態で、投げ飛ばして、磁力で戻ってくる時間の差で、化合物の質量がわかる。正確に質量がわかると、構造の推定がしやすいのですね。タンパク質の構造を特定するためにはとても大切な装置です。そんな特殊な機械をアミノアップでも使っていて、しかも、私の使っていない使い方だったので、本当に面白そうだなあと思いました。
入社してみていかがでしたでしょうか
有機合成というのですが、エタノールなどを使って、有機物を合成するのですが、新しいものを作り出す実験の操作を習得させてくれました。できないこと、やったことがいことができるようになるとか、やったことがあっても分からなかったことがわかるとか、そんなの本当に嬉しいです。仕事で実験をしていると、締め切りまでに結果を出さなきゃって期限があることで成果の出るものもあるし、時間制限があることで毎日の効率が良くなるということもあります。それに対して、日常生活の中でリラックスした時に出たひらめきが役立つこともあります。ちゃんとしなきゃってプレッシャーはゼロではないけど、やりがいは強く感じています。
どんな少女時代だったのですか
小学校4年生のときに美味しいクリスマスケーキを作りたいって思って「練習するしかない」って週にスポンジを3台焼いていたんです。卵とか小麦粉がどんどんなくなるので、親に怒られました。もうちょっと美味しくなるはずなのにって何度も挑戦しました。高校のときシフォンケーキにはまってました。
実は高校の時に調理師資格を取っていたんです。子供の頃、お菓子を保育園だったり、お母さんが手作りのお菓子を作ってくれたのが心に残っています。母の作る酸っぱいレモンのクッキーを、なんかもっと美味しくしたいなあって。あと、母方のおばあちゃんが魚沼の近くで、本当に米の味にうるさいんですね。美味しいお米がいいと、毎日、幾つかの米を選んで炊く人だったんです。そして、やたらとおばあちゃんのご飯は美味しかったですね。それで、高校の食物化のあるところを選んで、公立なんですけど、調理師免許がとれる変わった学科でした。高校生活は本当に幸せでした。半日、立ちっぱなしの調理実習が楽しくて楽しくて。実習で作ったカレーを大量に食べて、次の時間が体育の時、苦しいし、カレーくさいって他の学科の人に言われるし。結構爆笑でした。1900年創立の県立の女学校でしたので、伝統的で厳しい校風だったんですけどね。大学には推薦の枠がありました。
若い人たちへのアドバイスをお願いします
自分が好きなものが、はっきりしていたらそれをやってみる。いろんなことに興味が向いていたら、何かとりあえずやってみるといいと思います。
私は最初の仕事で、工学部系の方向に向かいました。別の興味でもいい経験になりました。今は、やはり大好きな食品に関わっていられること。自分が関わったものが世の中に出て行くこと。世の中に求められていると感じるのがとても幸せです。
方向転換を恐れないで、いろんなことを体験してください。私は大学生ぐらいの時から、面白い大人と知り合うことができたんですね。視野の広い人たちの話を聞いて、視野を広げられたと思います。自分の好きなことを、追求している人たちを見て、大人って楽しいんだなあって思いました。