志原海岸(しはらかいがん)

 志原海岸は和歌山県の夕陽100選に選ばれる夕陽の見所です。

 道の駅「海来館(みらいかん)-2016年4月リニューアル-」では、日置川の名産品にして絶品の「あゆチョビ」や梅干し・ひもの・かまぼこ・紀州備長炭などの美味しい特産品を販売しています。また、2階のレストランでは、ボリューム満点の各種定食を味わうことができます。

 さて、味覚を堪能した後は道の駅から海に向かって大地の悠然の歴史に触れに行きましょう!

 志原海岸は約1800万年前~1500万年前に堆積した地層からなっており、砂岩(砂がかたまってできた地層)と泥岩(泥が固まってできた地層)が交互に堆積した地層が分布しています。海岸には緩やかに傾斜した地層が広大な波食棚(海岸にみられる、波によって削られた平らな地形)を形成し、志原千畳敷と呼ばれています。また、東西と南北に延びる割れ目が海食崖(波のはたらきによってできた切り立った崖)や海食洞(波の浸食によってできた洞窟)などの見事な海岸地形をつくっています。ここでは多くの生痕化石(古生物の生活の跡が化石として残ったもの、足跡や巣穴)がみられます。

海食洞

地元では通称「鳥毛(とりけ)の洞窟」と呼ばれている海食洞と、洞窟と洞窟の間に見られる節理。南北に延びる割れ目に沿って洞窟ができています。大きいもので間口の高さ約10m、奥行き約30mにもなります。

陸繋島(村島磯)

 志原磯に続く砂浜海岸の南東側にある村島磯は、全体の形が熊の頭部に似ていることから「ベアーズロック」とも呼ばれています。ここは、地球規模の温暖期の海進により深くなった海底で堆積した泥岩層です。村島磯は、元々島であったのが陸地と短い砂州でつながって現在の形になっています(陸繋島)。右の写真からわかるように、「ベアーズロック」の鼻の部分の地層の重なりは、周辺の地層と同じくやや垂直に傾斜しています。かつて海底で水平に堆積した地層が隆起する際に傾いたと考えられ、熊の鼻先の特徴をよく表現しています。

直行面をもつ海食崖

ダニ

 面が直交に交わっている砂岩泥岩互層海食崖。東西、南北の割れ目に沿って崩壊が起きています。

生痕化石

志原海岸に見られる生痕化石(サラシノイデス)。ゴカイの仲間が泥の中を這い回った跡と考えられています。このことから、志原海岸は、流れの緩やかな浅い海底で堆積したことがわかります。

波食棚(志原千畳敷)

志原千畳敷から見たトリケの洞窟とリバージュ・スパひきがわ温泉(渚の湯)。リバージュ・スパひきがわ温泉は、白浜温泉や椿温泉ほど有名ではありませんが、pH10.1以上の強アルカリ泉でお肌がツルツルになる隠れた美人湯です。地元の人たちを中心にリピーターでにぎわっています。また、海に沈んでいく夕日を湯船から眺めるのは至福のひとときです。リバージュ・スパひきがわ温泉は、白浜温泉や椿温泉と同じ枯木灘弧状岩脈沿いに存在します。

六部岩

 今は存在しない六部岩(左)。昭和47年9月16日、台風20号によって崩壊しました。高さ10m、下部の幅3m、上部の幅4mの奇岩で志原海岸の名物でした。右は六部岩があった付近。完全に崩壊しているのがわかります。

格子状の割れ目

<div> 波食棚に見られる東西、南北に延びる格子状の割れ目。紀伊半島には東西、南北方向にプレートによる力がかかっています。割れ目には、カメノテやアラレタマキビ、フジツボなどがみられます。

海食崖

砂岩と泥岩が交互に堆積し、海側(西)にゆるく傾斜している海食崖。海中には崩壊した大きな岩がゴロゴロと転り、イサキ・グレ・イガミ・アオリイカなどのよい釣り場になっています。磯は休日になると多くの釣り人や磯遊びの家族連れで賑わいます。

海岸段丘

志原千畳敷に続く海岸段丘と段丘上部からみた志原千畳敷。段丘面はほぼ平坦になっており、かつての波食棚の様子がうかがえます。志原海岸の海岸段丘は、主に南海地震による隆起によって形成され、現在の高さ(15m~16m)になっています。