椿温泉

その昔村人が一羽のシラサギが、毎日の様に空を飛んでは、村の一点に舞い降りるのを見つけた。空を飛ぶ純白のシラサギの姿は美しいが脚どこかを傷つけているらしい。何かしら痛々しいものがあった。シラサギのおりた地点「椿谷の一隅」には、泉のように滾々と湯が湧き、ほのかな湯けむりが立っていた。そうしてシラサギは、しばらくの間じっとその湯に脚を浸すのをつねとした。幾日かそうした日が続くと、シラサギの姿が日に日に元気になっていくかに見えた。やがて脚の傷もすっかにり治り羽ばたくと、何処かに飛び去っていった。このうわさが、時の住職湛海和尚の耳に入り、同和尚が、湯の湧き出ている所に、「鷺の湯」と名付けて小さな湯船をつくったのが、椿湯、すなわち現代の椿温泉のおこりという。なお椿温泉は枯木灘弧状岩脈の北部延長上に位置し、田辺層群上部層から噴出しています。

椿温泉は、前弧海盆に堆積した田辺層群の上部が分布します。海岸には生痕化石・斜交層理・リップマークなど浅海に堆積した地層特有の堆積構造を観察する事が出来ます。また貝、クジラ、カニなどの化石が発見されています。地中の中を数百m上昇した・泥岩岩脈・泥ダイアビルを観察することが出来ます。