安久川(アクガワ)の源流は、JR白浜駅の北方にあり、堅田、才野地区を緩やかに流れて、海に注いでいる小さ
な河川です。
下流にある安久川地区には、「安ク川千軒」 という言い伝えが残っており、昔は栄えた地域であったようです。
現在、安ク川の流域は、宅地化が進み、護岸はコンクリートで整備されて、葦原などはなくなってしまいました。
高波の時には、波が堅田地区まで遡上します。 川下両岸の家々は、代々、津波被害を受けてきました。
「竜の口橋」の近くにあった巨岩 (通称 甲羅岩 護岸工事で撤去) には、「甲羅法師 (河童) 」の言い伝えがあ
りました。
また、「大うなぎ」 の生息地であり、最近では、2010年7月に、2匹が釣られています。
今年(2016年)も、庄川の人が釣り上げましたが、臨終のため、和歌山の自然博物館に寄贈されました。
その安久川の河口近くに、和歌山県指定史跡の「安久川千躰仏群」があります。
通称、地蔵山(標高約15m)の山中に、100体程の石仏が散在しており、山内は木洩れ日がさして、
悠久の祈りに包まれています。
石仏は、砂岩系の石に彫られており、20~30cmから数十cmの大きさです。 一石に一仏ないし一石に
数仏が彫られています。 石窟の中に安置された石仏もあります。
案内板には、貞宝4年(1687年)、宝永2年(1705年)と刻まれた石仏があると、案内されています。
誰が何のために造ったものであるかは不明ですが、海難事故の犠牲者を弔ったものかもしれず、庶民信
仰の史跡であるとの説もあります。
また、対岸にある集落の民家に隣接して、白浜町指定文化財であり、5世紀後半頃に築造されたという
「安ク川古墳」 「安ク川脇の谷古墳」 があるほか、海岸には、南紀熊野ジオパークの一つ、「シガラミ磯」や
「五色ケ浜」があるなど、散策には最適のエリアです。
※注 = 史跡は、民有地内にあり、文化財の保護が求められています。