やっと出会えた

香ばしい発酵のなんだかありがたい、懐かしい香りと、柚子だろうか、ちゃんと酢のきいた酢飯。中に刻んだ茎。これ持って歩きたい。何個でも食べられそうだ。しっかり発酵したものは商売には難しいのだろうか。今まで出会えなかった。お店で出すには匂いもきになるのかもしれない。また、古漬けをつける時間が長いので、負担も大きいだろうか。綺麗な緑の浅漬けと白ご飯のめはりも旨い。しかし、高菜は古漬けが旨いと思う。もちろん好みは人それぞれだ。

 

先代の戒め

店で、古漬けのめはりを出すとはすごいこと。「いや、親父には熟鮓とめはりには手を出すなって強く教わっていました」と戒めを破る大将の決意を感じる言葉。「そりゃ、臭うでしょ。でも本物をやってみたかった。この味、歳のいった、ばあちゃんたちは、そうそうって言ってくれます。若い人でもはまって、こればっかりって方もいますよ」という大将の笑顔。新宮市とも相談して始めたそうだ。「やるなら本物。朝早く別に作ってしまえば、他の寿司に影響もしないですよ」という。なるほど、山仕事の昼飯だから、早朝炊いた飯を酢で殺して古漬けの目はりに包む。発酵した香りと旨味が飯に移って山仕事の昼飯に最高だっただろうなと。  

古漬けの高菜の香り、割と強めの酸味の酢飯には柑橘の風味もある

実はこの店頭の貼り紙を見て徐福寿司に入った

 

大将に会いたかった

貼り紙の「熊野川」「山師」「筏師」という言葉を見て、気分がいい。ああ、新宮に来た。山で栄えた街に降り立ったという気分になった。和歌山大学の南紀熊野サテライトのコーディネーターに「新宮はめはり発祥の地ですから、ぜひ食べられてくださいね」と言われ、駅前の寿司屋でまさに欲しかった情に報いが。 ここの大将、きっと、街のこと、流域のこと、この土地の文化や未来を一所懸命考えてる人に違いないと、戸を開けた。

 

右が大将。徐福寿司の三代目。地元思いの肝の据わったいい男。彼が駅前に店を出した。左はご子息四代目

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