レールの輪の中に入る、そうすると子どもはその世界に入れるんです

紀伊田辺駅から歩いて3分。

アーケード街に、どうも気になる玩具店があった。

 

息子も「何か普通と違う。ここは楽しい場所だ」と気づいたのか、写真を撮るのも待ってくれない。

店内に駆け込むと、一直線にBRIOの列車のおもちゃへ。

 

最初はレールの輪の手前側から遊んでいたのだが、気づくと中に入ってしまっていた。

茶色くなったレール、40年は経っている

「レールを踏んでしまった、まずい」と、出るように子どもを叱ると、奥様が

「良いんですよ。そのままにしてあげて下さい。レールの輪の中に入ると、子どもはその世界に入れるんです」

 

ついつい大人のルールで、叱りがちになっていた自分に気づく。

そして、何か許されたような気分がして、すっと心が軽くなった。

息子を見ることに向けていた心を、おもちゃ選びに向けることができた。

 

 

お店の玩具は、全てご主人と奥様が確かめ、納得がいくものしか置いていないという。

 

「あの会社の商品はプラスチックの部品が多くなってしまってね。残念だけど、今は仕入れてないの」

「このおもちゃはね、トウモロコシで出来ていて、口に入れても安心なんですよ。不味いけど(笑)」

 

売れる商品よりも、子どもが喜ぶ、子どものためになる商品を。

子どもだけでなく、親も安心しておもちゃを選べる環境を。

子どもと親への想いにあふれたお店だった。

 

店内には世界中からの玩具が並ぶ。東京でもこの品揃えは見たことがない。東京からのお客さんも多いという。

 

(2015.2.22 森崎千雅)