レールの輪の中に入る、そうすると子どもはその世界に入れるんです
紀伊田辺駅から歩いて3分。
アーケード街に、どうも気になる玩具店があった。
息子も「何か普通と違う。ここは楽しい場所だ」と気づいたのか、写真を撮るのも待ってくれない。
店内に駆け込むと、一直線にBRIOの列車のおもちゃへ。
最初はレールの輪の手前側から遊んでいたのだが、気づくと中に入ってしまっていた。
「レールを踏んでしまった、まずい」と、出るように子どもを叱ると、奥様が
「良いんですよ。そのままにしてあげて下さい。レールの輪の中に入ると、子どもはその世界に入れるんです」
ついつい大人のルールで、叱りがちになっていた自分に気づく。
そして、何か許されたような気分がして、すっと心が軽くなった。
息子を見ることに向けていた心を、おもちゃ選びに向けることができた。
お店の玩具は、全てご主人と奥様が確かめ、納得がいくものしか置いていないという。
「あの会社の商品はプラスチックの部品が多くなってしまってね。残念だけど、今は仕入れてないの」
「このおもちゃはね、トウモロコシで出来ていて、口に入れても安心なんですよ。不味いけど(笑)」
売れる商品よりも、子どもが喜ぶ、子どものためになる商品を。
子どもだけでなく、親も安心しておもちゃを選べる環境を。
子どもと親への想いにあふれたお店だった。
店内には世界中からの玩具が並ぶ。東京でもこの品揃えは見たことがない。東京からのお客さんも多いという。
(2015.2.22 森崎千雅)