1.伐採・搬出
みなべ・田辺地区では梅畑を作る時山全体を梅林にせず、薪炭林を残してきました。
また、備長炭の原木となるウバメガシやカシを全て伐らず細い木を残す択伐にすることで、
循環型原木林を維持してきました。
これが国連食糧農業機関から世界農業遺産い認定された「みなべ・田辺の梅システム」です。
古くからの「サデ落し」や「野猿」(やえん)の他、最近では架線・モノラック使用も多く見られます。
2.木ごしらえ
曲がった原木に鋸・鉈で切れ目を入れ、木片のくさび(コミ)を打って真っ直ぐにします。
また、直径10cmをこえる大径木は2つ割に、さらに太いものは4つ割に、細い木は数本ずつ束ねます。
3.立込み
原木の立詰めは紀州備長炭の特徴です。
また窯出し直後の人の入れない熱い窯に「コロバシ」と「立て叉」を使って立て込む「はね木」「ほうり木」の
伝統技術も健在です。
4.口焚き・乾燥
窯口で雑木を燃やし、生木を乾燥させます。この時の煙の色と匂いで炭化の始まりを判断します。
口焚きを止め、数センチの目穴だけを残して窯口をレンガと練った素灰でふさぎます。そのタイミングは炭焼きの腕の見せ所です。
5.炭化
数センチの穴だけを残してふさがれた窯の中で原木は蒸し焼きにされます。
煙の色と匂いで目穴・火穴を調節し、炭化を最高の状態に保ちます。
木酢液はこの段階で採取します。
6.ねらし
白炭の最大の特徴はこの「ねらし」です。
炭化を終えた炭は徐々に広げられた窯口から送り込まれる空気により、燃え始めます。
20時間前後かけて、下半分が全開にとなった窯口からはゴォゴォと音を立てて炎が吹き出してきます。
この時窯内は1000℃を超えます。
7.窯出し・消火
窯口に引き出して精錬された炭を「エブリ」でかき出し、素灰をかけて消火します。
原木の皮と不純物を完全に燃焼させるため、少しずつ繰り返すこの作業は時に10時間にも及びます。
8.選別・箱詰め
素灰をかけて消火・冷却された炭を灰の中から掘り出します。
一定の長さ・太さに選別し、等級ごとに1箱15kgに詰めていきます。
備長炭は鋸では切れないので、鉈の衝撃で断ち割ります。