私達は、地元の水源である会津川で水力発電はできるのか調査しました。

会津川は、上流からみて、右側を右会津川、左側を左会津川となっています。

かつて右会津川には、有志により設立された川中口発電所がありました。川中口発電所は1916年、出力120kwで運転を開始しましたが、機器の老朽化や上流部で植林が増えたことにより水量が減少したために、2004年停止され、現在は跡地は観光地となっています。

そこで、川中口発電所のかわりとなる水力発電を左会津川でできるか興味を持ったために、この議題を挙げました。

まず、川中口発電所とおなじ発電方法である流れ込み式発電で考えました。流れ込み式発電とは、上流から水路により取水し、同じ高さのまま下流で放出することで高さを得る方法です。

自然の流れをそのまま利用するため、燃料費がかからないメリットがある反面、枯れ葉や土砂など水路の日常的なメンテナンスが必要です。

左会津川は右会津川に比べて傾斜が緩やかです。

つまり、右会津と同じ落差を左会津川で得ようとすれば、水路の長さがさらに必要となります。

右会津川では、発電時に使われていた水路はおおよそ2.3㎞ですので、それ以上だと思われます。

しかし、左会津川周辺では、住宅地や果樹園や田畑といった土地開発が進んでいるため、水路を

設置するのは困難だと判断しました。

また、流れ込み式発電は、自然の流れをそのまま利用するため、水量が必要です。

左会津川では水量が少ないため足りないことがわかります。

また、ダム式発電では、貯水するため、発電量が一定で左右されないところにメリットがありますが、その反面、堆積した土砂のヘドロ化が生態系に悪影響を及ぼすことがデメリットとして挙げられます。

川中口発電所にダム式発電を設置した場合、建設するのに伴い、材料費や人件費など多額の費用がかかり、また、完成までの長い年月により、経済状況の変化や物価の変動から当初の予算よりも上回ることも考えられます。

さらに、もう一度川中口発電所を利用するという案もでましたが、田辺市史の大正14年当時の記録から120kwを2473戸の家庭に供給していたことがわかり、計算すると一戸あたり0.048kwを消費していたことになります。

現在の一戸あたりの平均消費電力は一か月あたり428.2kwつまり一時間0.594kw消費しており、川中口発電所の出力では、現在の家庭202戸を賄え、これは田辺市総家庭数35736戸のうち1/177を賄うことに値します。

ですが、残された水路は山の斜面や風化により、崩壊しています。

かつて取り壊しの原因となったのも、崩壊した水路の修繕費が発電費を上回ったためではないかと推測し、再稼動は難しいという結果にいたりました。

これらをふまえて、左会津川では、流れ込み式は水量が少ないため不適。

また、ダム式発電は生態系への被害や発電費よりも稼働費が上回るため、設置しないのが望ましいと考えました。