救馬溪観音とは、紀南地方最大の開運・厄除の霊場です。上富田町に存在し、約1300年の歴史を持ち長年地元の人々に愛されています。

 「救馬」という名前のは、盲目になり元の体を取り戻そうと湯の峯へ旅をする小栗判官の愛馬を救ったことに由来します。また、この周辺の地域である「生馬」という地名もこの伝承に由来し、これにちなんで毎年1月3日の10時から救馬渓観音では馬を見ることができます。

 では、まずいったいどんな霊場なのか見ていきましょう。

こちらは、2014年の和歌山県内での初詣参拝者数の表です。

  神社・寺院名 参拝者数(およそ)
1 本宮大社 31万54人
2 日前・國懸神宮 31万人
3 速玉大社 18.5万人
4 紀三井寺 12.5万人
5 那智大社 10.35万人
6 救馬渓観音 8万人

 ご覧になったとおり、初詣の参拝者数は県内6位の8万人と、地元の人々のみならず県内各所の方々に愛されていると言えます。参拝料・拝観料・駐車料金はもちろん無料、JR紀伊田辺駅から車で20分と気軽に訪れやすくなっています。

 では初詣以外にどのような年内行事が行われているのでしょうか。

行事名
1月 1~15日 初詣
  9・10・11 十日戒
星祭り
初午祭
1~ あじさい祈祷礼授与
中旬の日曜日 あじさい祭り
22・23・25・29・30 きゅうり封じ
行者祭り
  7~24 お盆供養会
23 延命地蔵祭
10 15 慈母観音祭
11 辯才天祭

 こちらは救馬渓観音の主な年内行事です。まずは下旬です。7月から見ていきますと、たくさんの行事があることがわかりますが、これらももちろん無料で参拝することができます。詳しい内容や日程などは、救馬渓観音のサイトで確認することができるので、そちらも参考にしてください。

 

 その中でも今回私が最も注目していただきたいものは、この「初午祭」です。救馬渓観音でもっとも大きく、紀南最大の厄除け・餅投げの行事です。

  そもそも初午とは旧暦2月最初の午の日のことを指し、本来は全国各地で伏見稲荷神社の神を祀る日でした。しかし、原型である豊作祈願から各地で蚕や馬、牛の祭日とする風習が生まれ、初午祭、といっても地域によって内容が全く違う個性のあふれたものになっています。

  救馬渓観音には、御本尊馬頭観世音菩薩(ごほんぞんばとうかんぜおんぼさつ)という、鎌倉期の有名な仏師快慶による作品が飾られており、これは午年の初午日にしか見ることができませんでした。そこでその当時、一目拝もうとたくさんの人々がこの観音に訪れたといいます。

 祭りの内容は、先述の餅投げによる厄除けがメインです。正午に300㌔、午後3時に300㌔の合計600㌔もの餅をまきます。拾った餅はお持ち帰りしていただくことができます。この餅まきで餅をまく人は、抽選で決定しています。応募をすればあなたが餅をまく側になることもできるかもしれません。また、この日には年に一度の開運厄除大護摩祈祷(かいうんやくよけだいごまきとう)が行われます。訪れた際はそちらもぜひご覧になってください。

 救馬渓観音に少しでも興味を持っていただけたでしょうか。初午祭以外の行事も魅力的ですし、山内のあじさい曼荼羅園も見ごたえがあります。ぜひ、この機会に皆さん、救馬渓観音にお越しいただければと思います。