恩のある末廣の地で父の養豚場を継ごうと思った について知っていることをぜひ教えてください

末廣農場を引き継ぐ養豚

産業祭りで話してくださった堀江社長(撮影:杉山幹夫)富里で堀江ファームという養豚場を経営する堀江光洋社長にお会いすることができた。

「親父は大正6年の生まれで、もともと末廣農場に勤めていたんです。戦争が始まって、親父が徴兵となった大変な時、家族の面倒を末廣農場が見てくれたですよ。この土地で親父の後を継ぐことは子どもの頃から考えていました。」

堀江ファームが飼育する「房総ポーク」には専用の飼料にオレガノなどのハーブやガーリックを加えた、人間が食べても美味しい餌で育てられている。乳酸菌も食べさせて豚の腸を綺麗にしている。堀江ファームの周りには住宅街があるため、においなど衛生上の問題が起こらないようにという配慮の一つである。

明治初頭に英国から持ち込まれた中ヨークシャー種。それがこの富里であった可能性は高く、末廣農場で飼育方法を確立した伝統が断絶することなく引き継がれているという。頭数の規模がそれほど多くないため、近親交配による遺伝病の対策が必要とされ、この秋、ヨークシャーに行って、原種を買い付け交配環境を整える。

 

日本は6割も食料を輸入して、4割も捨てている。少しでも改善したい

堀江ファームの長年のご苦労は、「とんかつ まい泉」とのお付き合いという形で実る。まい泉で提供される「甘い誘惑」というブランドメニューは堀江ファームの豚だ。まい泉のカツサンドを作るときに出るパンの耳は、農業技術マーケティング社によって適切な飼料となって、再び堀江ファームに戻る。堀江さんはこの飼料を3割ほど使う努力を重ねてきた結果、まい泉の経営陣にその思いが伝わってとうとう縁がひとつできたと喜ぶ姿があった。(→ 堀江ファームさんのエコフィード

 

実際食べた肉の味は最高だ

堀江ファームのベーコン。買うときは脂の入り具合や大きさなど、購入者のリクエストに応じてベーコンを選んでくれる。心づかいが嬉しい(撮影:小瀬木祐二)富里産業祭りの屋台で食べたベーコンはとても美味しいものだった。ほんのりとした甘みがあって、食べた後は口の中に脂がまるで残らない。一緒にいた友人は3枚も食べている。「良い豚の脂は35度くらいの温度で溶けるから口に残らないんだ。ビタミンも多いから食べると疲れが取れる。健康ドリンクを飲むよりも疲労回復に効くというやつがいるんです。」そう笑いながら話す堀江社長のお肌は確かにぴかぴかだ。「ソーセージも売っているんだけど、やり始めの頃は自分で腸詰めに行ったもんだよ。」エネルギーと行動力を秘めている堀江社長。その社長を育てた富里という土地には人の営みと切磋琢磨した長い歴史があって、今もなお次の世代に紡がれている。

 

(文:小瀬木 祐二 編集:杉山 幹夫 2015年11月15日)

 

(2015年12月11日追記)

平成11年に中央畜産会が実施した調査にて、堀江社長のそれまでの取組みが紹介されています。

 (リンク)中央畜産会HP 競争力ある養豚経営の確立を目指して─安全第一の豚肉加工品販売への挑戦─