【日本最古、ジャズ喫茶ちぐさ】

カフェやテレビのBGMでよく流れているため、意外と耳にすることも多いジャズ。しかし、ジャズを聴くことを目的にお店を訪れたことがある人は多くはないのではないでしょうか。横浜にはジャズを楽しめるお店がたくさんありますが、少しでもジャズがいい音楽だなと思ったら訪れてみてほしいのがジャズ喫茶。ライブのように時間が決まっていないですし、かかるのはドリンク代のみでジャズを楽しむ敷居が比較的低いと思います。じっくり音楽を聴くのはもちろん、本を読んだり日記を書くなど自分のための時間をゆったり過ごせます。ただし歓談の場ではないので、1人もしくは2人で訪れるのがおすすめです。

私が初めてちぐさに訪れたのは、高校生のとき。下記にも登場する春木さんと一緒に訪れました。なんとなくドアを開けるのが怖く、先に入ってもらいましたが、いざ入店してしまうと、その居心地の良さから「明日も来たい」と思ったのを覚えています。

たくさんあるレコードのリストの中から、自分のすきなものをリクエストできるのも魅力の一つです。ジャズに全く詳しくなかった私はそのときふと目にした名前をリクエストしてみたのですが、その音がとても素敵だったので以降ちぐさ以外でも聴くようになりました。

お店は現在緊急事態宣言を受けて、2021年9月30日まで全面休業していますが、興味が湧いた方は公式HPを是非チェックしてみてください。ちぐさの歴史・新聞/雑誌掲載のアーカイブ・過去のライブの様子等が垣間見えるYouTubeチャンネル記載等、見どころがたくさんあります。営業日等お店の最新情報も公式HP TOPICS欄にありますので適宜ご確認ください。
公式HP:https://www.noge-chigusa.com/about

 

正面入り口

横外観素敵な看板

 

[みなとみらいSuper Big Band]

横浜にあるのは歴史のある、古き良きジャズ喫茶だけではありません。若い世代によるジャズの演奏も行われています。それが中・高生で構成された “みなとみらいSuper Big Band”です。

 

ジャズと聞くと少人数で演奏しているイメージがあるかもしれません。それに対してビッグバンドとは、サックス×5,トランペット×4,トロンボーン×4,ピアノ,ドラム,ベース,ギターの17人を基準とした、大人数編成で演奏されます。その音の分厚さは少人数編成(コンボ)では味わえないものです。

 

大人数編成の音楽と言えば、オーケストラや吹奏楽を思い浮かべる人が多いと思います。それもそのはず。2021年度の横浜吹奏楽コンクール中学校部門の出場校は全部で131校あるのに対し、中高合同で行われたスチューデント・ジャズ・コンテストに出場した横浜の中学校は0校です。(※関東の13校が出場。主催の日本スチューデントジャズ教育協会には横浜の3校が加盟)中高生の間にジャズと触れる機会が少ない現状は明らかですが、学校の垣根を越えて中高生がジャズに取り組めるのが、“みなとみらいSuper Big Band”。

 

結成のきっかけは2012年に横浜みなとみらいホールが“熱帯JAZZ楽団”公演を開催した際に、横浜市立笹下中学校ジャズ部(※現在は吹奏楽部)とのワークショップを実施したこと。「卒業後もジャズを続ける場所がほしい」という生徒の熱い想いをうけ、2013年横浜みなとみらいホールで“みなとみらいSuper Big Band”は誕生しました。こうした経緯を受け、ワークショップや共演等を通してジャズを演奏する楽しさを次世代の子どもたちに伝えている熱帯JAZZ楽団との共演機会を作ったり、熱帯JAZZ楽団トロンボーン奏者の青木タイセイさんが特別講師として指導してくださるなど様々な協力も得ているのだとか。数少ない若い世代がジャズを本格的に楽しめる、貴重な場だと感じます。

 

現在の所属団員はサックス16名、トランペット8名、トロンボーン5名、リズム9名の合計38名。今では横浜市以外の市や、東京都から来ているメンバーもいるのだそう。年に6~8回程度演奏しており、毎年8月と3月に横浜みなとみらいホール主催で定期演奏会を実施している他、横濱ジャズプロムナードやアートフォーラムあざみ野、クイーンズサークルでのイベント等、横浜市内での活動が中心です。北海道札幌市や石川県金沢市への遠征実績もあります。(※新型コロナウイルス感染症拡大以降、遠征は中止しています)

 

このように様々な貴重な経験ができる “みなとみらいSuper Big Band” のOB・OGのなかには、このバンドの活動をきっかけに音楽大学進学を決めたメンバーも。大学のビッグバンドサークルは中高生に比べて活動団体が多いため進学先でジャズを続けるメンバーも多く、演奏家が育っている実感があると横浜みなとみらいホールの担当者は語ります。また、

『横浜は日本におけるジャズ発祥の地のひとつと言われています。そして、ジャズは横浜の文化史のひとつとしても重要な役割を果たしてきました。野毛~伊勢佐木町~関内エリアにはジャズの生演奏が楽しめる場所が多くあります。このような横浜という地で、ジュニア・ビッグバンドの活動に取り組み、若い世代の演奏家や聴き手を増やすことは、とても意義のあることだと思います。技術向上だけでなく、ジャズが好きな子たちが同世代で活動できる場をつくることを目的として、活動しています。ジャズが大好きな方、同世代のメンバーと楽しく演奏したい方、一緒に活動するメンバーをいつでも歓迎しています。』と素敵なコメントを頂きました。

 

また2016年度バンドマスターの春木さんにお話しを伺ったところ、

『音楽にも、演奏を聴いてくださる皆さんにも、メンバーにも真剣に向き合ってきたので、自信をもって“みなとみらい(横浜)で活動しているビッグバンドだ”と言えます。横浜で活動できたことを誇りに思っているし、ジャズが根付く街・横浜での演奏活動を次の世代につなげていきたい。是非聴いてみてほしいです。』と語ってくれました。

音楽を演奏しない方、高校生以上で所属できない方であっても演奏を聴くことでジャズをもっと横浜に根付かせる・次の世代につなげることになるのではないかと思います。なにより中高生のパワフルな演奏にきっと驚くはず。次回演奏はオンライン視聴ができるため、きっと例年より気軽に聴けるのではないかと思います。是非一度この機会に横浜のジャズに触れてみてはいかがでしょうか?

 

◆みなとみらいSuper Big Band プロフィール

熱帯JAZZ楽団のサポートを受け、2013年に横浜みなとみらいホールで生まれた中高生ビッグバンド。横濱JAZZ PROMENADEや横浜みなとみらいホール主催の音楽イベント等に出演。講師は、熱帯JAZZ楽団トロンボーン奏者の青木タイセイ氏(特別講師)、Lowland Jazzトランペット奏者の具理然氏を招き、週1回の練習に励んでいます。

https://mmh.yafjp.org/mmh/recommend/2021/05/-super-big-band.php

 

 

次回演奏はこちら↓
横濱JAZZ PROMENADE2021 ライブ配信 <ジュニアビッグバンドステージ>

日時:2021年10月10日(日)13:20~14:00

*横浜赤レンガ倉庫1号館3階ホールから生配信

https://jazzpro.jp/jazzpro2021

 

参考:「子どもと芸術文化~Vol.3 横浜みなとみらいホールの取り組み」(https://yokohama-sozokaiwai.jp/special/11783.html

取材協力:横浜みなとみらいホール みなとみらいSuper Big Band 担当者