お昼ご飯を食べに中華街へ。

あるお店のおじさんが「食べ放題やってるよ!」と声をかけてくれました。

初めはもう少しお店を探したいと思っていましたが、「今なら割引もあるよ。食べ放題だと単品よりお得だよ」という言葉で少し気持ちが揺らぎます。

さらにそのお店には明石家さんまと木村拓哉がロケに来たとのこと。

「不味いお店にロケは来ないよ」という言葉に納得した私は、そこで食べ放題を頼むことにしました。

 

席に案内してもらうと、そこには四角いテーブルにグリーンのソファー。

赤いクロスに回転テーブルという中華のイメージとはかけ離れたその席は、ホームページ(1)で「中華モダン」と紹介されていました。

「中華モダン」は「モダンチャイニーズ」という言葉で置き換えられることも多く、どちらも明確な定義はないものの、「中華に別の要素を取り入れたもの」というようなニュアンスで使われている(2)ようです。

中華モダンの席 (撮影:akarifukasawa)

 

メニューには「興記特製五色小籠包」や「パンダまん」といった、SNS映えしそうな商品がありました。

ホームページにも「見た目も味も完璧!SNS映え確実!おしゃれに中華を堪能!」というキャッチコピーが書かれています。

かつてはメダルを獲得した料理人の写真がお店の看板に大きく使われていたこと、またそのようなお店が複数あったことから、「本物の中華」に需要があったと考えられます。

その一方で、今日では「SNSで映える」商品に需要があることがわかります。

興記特製五色小籠包(撮影:akarifukasawa)パンダまん(撮影:akarifukasawa)

 

また、このお店は「中華街餃子館」(旧「餃子センター興記」)という名前。

どちらにも「餃子」の文字が入っているのにもかかわらず、店員さんと話しても、メニューの並びを見ても、ホームページを見ても餃子を推しているようには見受けられません。

餃子を売りにしようとしたものの、周りも中華料理のために十分に売り出すことができなかったのか。

餃子よりも、SNS映えする商品が人気になってしまったのか。

コロナ禍で集客が減っていて、餃子を売るよりもまず人を入れることが最優先になっているのか。

興記焼き餃子(撮影:akarifukasawa)
 

 

面白くてちょっと不思議な中華街のお店。

美味しい料理と、「もしかしたらこうなのかも」を考えられる貴重な機会まで提供してくれます。

 

【参考文献】

1中華街餃子館【公式】https://gyoza-kouki.owst.jp(最終閲覧日:2021年9月16日)

 2「大人女子ウケ抜群!噂の〝モダン中華〟って!?」DOMANI、2017年11月7日更新https://domani.shogakukan.co.jp/19740 (最終閲覧日:2021年9月16日) 参照

山縣かほり「日本においてモダンチャイニーズを定着させたスゴい人!」日刊スゴい人、2012年11月1日更新https://sugoihito.or.jp/2012/11/5480/ (最終閲覧日:2021年9月16日) 参照