開港百年を記念して編纂された「横浜市史」の資料をもとにして、1981年に開館した資料館である。この土地は、日米和親条約締結が締結された場所と言われており、横浜の歴史を明らかにすることを目的に設立された。

実はこの資料館、魅力は横浜の歴史を堪能できることだけではない。中庭にある「玉楠の木」、通称「たまくす」という大きな木の存在だ。広々としたカサが特徴的で、夏頃には青々とした葉っぱが生い茂っている。この木は、日米和親条約締結の時からあったといわれており、二度の火災をへて変形しながらも人々の歴史を見守ってきた。

そんなたまくすを中心に広がる中庭のベンチは、平日のお昼時にサラリーマンたちが安らぐ姿が見受けられる。横浜開港資料館の周辺は働く人々の行き交っている姿が印象的であり、中庭は彼らの休憩スポットになっているのだ。資料館の中庭にしては少し意外であるものの、思い思いにお昼を過ごした大人たちが再び午後の仕事へと向かっていく風景がここにはある。

日本が大きな変化を遂げた頃から、玉楠の木は人々の変動を見てきた。それは現代も変わっていない。今日もきっと誰かの生活のそばにいることだろう。

(参考・http://www.kaikou.city.yokohama.jp/message/index.html ・http://www1.ttcn.ne.jp/~Hikari-0series/Yokohama/002.html)