津波が来たときの登別は について知っていることをぜひ教えてください

 25年前に作成した登別市の地形図の張り合わせ図に登別のアクセスを色に塗りして浮かび上がらせてみた。そして津波時の浸水エリアも書いてみた。驚くべき問題が浮かび上がってきた。主要なアクセスが登別の海岸平野沿いにある。海岸沿いの平野は津波時には浸水し、地形的にも低い位置になり海水が滞留する恐れがある。救助のための限界時間が72時間といわれるが、それくらい海水が滞留することが考えられ、そうなると消防も警察も救助隊も動けない町となる。つまり住民も救助するほうもにっちもさっちも行かなくなるというわけだ。

 この問題を解決すべく提案がある

 頼みの防災拠点の登別市庁舎も津波浸水区域に建て替えることがきまったという。防災拠点なのに・・。登別市はゴムボートで職員を出勤させる覚悟をしたようだ。『登別市は自主避難の出来る迂回ルートなど防災対策として作るべきだ」ということだ。

 この庁舎建設に関わる提案書を作成中だがここに一部を掲載する。御意見を・・。

市役所庁舎の建設について

                             荒川昌伸

 昨年、市民活動センターで庁舎の建設について市役所総務と消防の担当の方から説明を頂いた。それによると市庁舎はハザードマップの津波浸水区域である現状の場所に建設するという。そのときの話では庁舎に防災の拠点機能を持たせるというお話があったと思う。

しかし、具体的な防災拠点の活用策や中身の説明がなかったのでどのような理由で防災上リスクのあるエリアで建設することを判断したのか知りたく、また心配であるといのが率直な意見。

 

a) 登別市は災害に強い町を目指すのか?

b)災害の復旧が早い町を目指すのか

c)上記両者を同時に行うまちづくりを目指す

d)災害を遠い将来のことと考え現状の環境の維持を考えるのか

 これらの視点を明確にもつたまちづくりや防災対策を推進して欲しい。

 

 さて、登別市の災害要因はどのようなものが考えられるだろうか?

1)}地震津波 (現庁舎の位置では×)

新庁舎が現在地であると防災機能には問題がある

2)火山津波 (×)

新庁舎が現在地であると防災機能には問題がある

過去の例 駒ケ岳、有珠山?

3)クッタラ火山災害(○)

登別温泉エリアに集中する

4)集中豪雨災害(△)

新庁舎が現在地でもあるていど、降雨エリアから離れれば問題ないと考えられる

 しかし、1~4の災害が複合して発生する場合も考えられるし、天候が降雨時や冬期間の場合などは72時間以内に救助に迎えないなどさらに困難な問題に直面する。

 

登別市の津浪災害の現状

  市史では1741年の渡島大島の津浪被害の記録があると従来からいわれているが、これは間違いで、1640年の駒ケ岳の津浪が来たというのが正しいようだ。津波の記録が100年古くなったので津波の起こる確率は相対的に高くなると思われる。ということで津浪の可能性は確実にある。市内の企業は津波災害を考慮したBCPの作成が急がれる。

 

 このような背景の中でaを目指すのなら現状の場所に庁舎を立て、防災対応の機能を持たせるのなら問題が多いのでやめたほうがいい

 bのあり方で行くなら、他の代替方法である程度、早期の災害復旧を行うことが可能になると思われる。この場合、市庁舎が現行の位置のばあい防災のコントロールセンターは新設される消防庁舎のほうがまだ良い。

 Cでいくなら現行の庁舎でもかまわないのでは無いだろうか?

 

 

 

 津浪の避難アクセスシュミレーション

 津波時のアクセスの確保の予想は緻密に現地調査や数値解析を含めて想定していく必要があるがこではおよそのイメージで想定される状況をいくつか例として考えてみた。

 

 1/50000の登別市の地形図でアクセスの検証をおこなった(A0図面参照)。

 現状の庁舎は津波浸水区域、新消防庁舎は浸水区域外になる

 

アクセス確保上の大問題あり

 登別市の地形の特徴から、海岸沿いの国道36号よりも丘陵、山地側は津波終了後も海水が長時間滞留するという大問題が発生する可能性がある。各避難所が孤立化しこれが72時間以上続くことも考えられる。登別の場合は海岸地形の形成の自然史的な経過の結果、国道36号線やJRの線路が海浜の地形的に高い位置にあり、その陸地側は全域で低い地盤高を示す。河川もかなりの本数流れているが、住宅や漂流物で閉塞し、浸水区域の水が引くことに時間がかかりすぎるだろうと予想される。また大きな河川沿いには堤防が配置していてこれも海水のダムアップに加担すると予想される。東日本大震災ではさらに陸の沈下も発生し、海面下になる土地も見られたが、このようなことがあると更に海水の滞留が続く。

 

 この影響により国道の幹線が寸断され、非難や支援のアクセスが海岸平野では寸断される。まずは消防が出動できない、自衛隊隊舎敷地も東側を中心に水没して長らく出動が不能となる。

 市役所庁舎には職員に支給したボートで何人が登庁できるだろう?職員の居住環境、位置も把握しているだろうか(支給するゴムボートやボートの数がかなりの数になるだろう)?まず、水害地域では家族を守るためが第一で、その後のボートでの出動までには時間がかかるだろう。災害復旧で活躍する土木建設業者も道路が寸断されて応援に行こうにもいけない状態が続く。このようなことから職員の居住地にはある程度津波区域外にもあらかじめ確保しておく必要があるだろう(家族のことをあまり心配しなくても出てこれる体制が作れる)。

 

 私は昨年、市民活動センターの説明会で市内のアクセスを整備することの必要性、特にループ状にアクセスを市内に確保してはどうかと発言させてもらった。さらに消防庁舎はアクセスが寸断されるので何処にも動けないので高速道路の管理者と話し合い、庁舎から平野に下りずに直接入れるルートを作ることやループ状に迂回できるルートを確保することも提案した。しかし、「津波時には救助に行くことは出来ないのでそれは必要ない」といわれたが果たしてそうだろうか?自主避難ができなく、72時間以上も海水の滞留が続いたら、怪我や事故にあった被害者を長時間そのまま置いておくということになる。

 

自主避難できるまちづくり

 消防や警察、市職員や自衛隊、建設業者の応援部隊など初期段階では市民を助けに行くことが困難なエリアが多いため状況により自主避難することを日ごろから市民に伝えループ状の迂回路やアクセスの整備を要望する。自主避難ルートは登別市内の通過者にも朗報となる。たとえば登別市は室蘭市からの人もかなり通過しているものと考えられる。

 

 自主避難ルートは同時に支援物資や支援者の入るルートにもなるので行政の動きには頼れないという現状を考えると命を守る非常に重要な対応になる。これを市民自立型の自主避難アクセスシステムとして提案したい。

 

 また、それでも車で移動できない人、避難所が孤立してしばらく支援が考えられないときには山地などに道と道、まちとまちをつなぐ人の歩ける程度の道を設けるなどの対応も必要になるかもしれない。たとえば鷲別の亀田公園からぼうず山方面を経由し室蘭市へのアクセスなど市街地の状況により色々なルートが考えられる。これは災害時以外でも市民にフットパス(散歩道)として整備し、親しんでもらい、ルートの状況を体験して覚えていただくことができ市民の周知、理解が早いと思われる。また、室蘭市や近隣の人々の滞留が多い街なので、避難所にずっと居るのではなく室蘭市へ早く帰り、家族の支援を行いたい人もいるだろう。その場合、フットパスを活用してもらい室蘭市へ抜けることも出来るだろう。

 

 新消防庁舎から高速道路への非常時の出入りのための入口を設け、災害時の利用のための協定を結ぶことで、室蘭IC,室蘭登別ICの間の移動が可能になり、胆振以外の札幌圏からの応援や建設業者や自衛隊などの災害支援や支援隊の出入り、住民の移動避難などに大きな力を発揮するだろう。高速道路は災害時の防災アクセス拠点にもなりうるだろう。

 

{C}a) {C}案でいく場合で防災時に庁舎を活用する場合は市職員にボートを支給して出勤してもらうことなど必要になるが、このようなことを考えると庁舎に防災機能を持たせることは現実的ではない。