大通公園西9丁目の水辺 2017.5

起きるのが早すぎて朝から昼寝?

  1996年、保育園に通いだした息子といっしょにサマータイムをはじめた。といっても、毎年春分の日を過ぎたら、家中の時計を一時間進めるだけだ。世の中とずれないために携帯電話だけは「日本時間」に合わせておく。

時計を進めた私たちのサマータイムの夜は21時近くまで明るいことになる。そして、遅くとも23時に寝る。日本時間では22時だ。仕事の都合で早く帰れない日も多かったが、とにかく、家に帰ったら晩飯も食べないで寝てしまうようになった。

 

3時台の夜明け

夏至も近くなると、カーテンを開け放って眠っている私たちは、日本時間の4時を過ぎるとまぶしくて目覚めてしまう。5月、6月の朝は強い日の射すことが多い。食事を済ませて4時半。実は食事の間にプールに水を張っていた。といっても子供用のビニールだ。こんな時間、人気はないから、親子は素っ裸。風呂場からホースでお湯を引いて心地よく、たっぷり1時間、庭で水遊びだ。二人とも、5時半にはぐったりするくらいの満足。そして、「朝のお昼寝」を庭で6時半か7時まで。

 

 大通公園が噴水になる

昼寝から覚めるとまたおなかがすいている。「二回目の昼食」は、サンドイッチを持って、大通公園で食べる。8時台の大通公園は晴れた朝、スプリンクラーが芝生に散水している。「ねね、おとうさん、公園が全部噴水になってるよ」と息子がいう。確かに。西向きに振り返ると公園に虹がかかる。

 

19時以降の日没。明るい間にビール

調子よく仕事が終わった日の日本時間の18時、職場近くの保育園で息子を拾う。テレビ塔のレストランから大通公園とジャンプ台を眺めてビールとオレンジジュースで乾杯をする。5月、6月に遊び倒すので、夏至を過ぎる頃もう充分だと思う。

 

決して短いのではない大儲けの夏

夏至を過ぎると「ああ、もうこれからは日が短くなるんだなあ」ちょっとさびしい気持ちになったりしながらも、そのあとの7月、8月、私たちにとっては「おまけの夏」「大もうけの夏」をまた落ち着いて味わう。早いもので息子は小学校4年生になった。ゴールデンウイークに入った先日、不思議そうな顔をして「お父さん、今年はサマータイムにしないの」だそうだ。そうだな、忙しさにかまけていたが、そろそろ鳩時計の針をぐりっとまわそうか。

 休日、我が家に遊びにきた息子の友達のお母さんたちが「まあ大変もうこんな時間、帰らなくっちゃ」といって、家に着いてから電話をくれる。

 「なんか、一時間得しちゃったよ」。

不思議なもので、時計の針を回した本人も鳩の鳴き声の数についだまされる。無意識に前倒しの行動をとって、あとで、ニヤニヤしてしまうわけだ。

 

 

夏至の日本時間19:18、私たちのサマータイムだと20:18に札幌は日没を迎える。やっぱり今年もゆっくり暮らそう。午睡を取る南欧の街、マルセイユ やミラノと札幌は同じ緯度なのだから。

 

2003年5月1日