すさみ町佐本西野川地区では、30年以上前からキイジョウロウホトトギスが栽培されています。

キイジョウロウホトトギスは、ユリ科の多年草で、秋になるとつややかで鈴の形のような黄色の花をつけ、「山里の貴婦人」とも呼ばれています。

漢字で書くと「紀伊上臈杜鵑」。紀伊半島南部の固有種で、優雅な姿から江戸時代の大奥の女中の役職名である上臈(ジョウロウ)、花の内部の模様が杜鵑(ホトトギス)に似ていることからこの名がつきました。

ちなみに、四国から九州にかけて分布するジョウロウホトトギス (トサジョウロウホトトギス)や、神奈川県丹沢地方に分布するサガミジョウロウホトトギス、静岡県天守山地に分布するスルガジョウロウホトトギスといった近似種があります。

環境省レッドデータブックにも掲載されており、和歌山県・奈良県では絶滅危惧Ⅱ類、三重県では絶滅危惧Ⅰ類に分類されています。

非常にデリケートな植物で栽培は難しく、夏季の直射日光に当たると、葉が日焼けを起こし、根元から枯れ落ちてしまいます。

ただし、種まき・挿し木で増やすことができ、特に挿し木で容易に増やすことができます。

6月頃に、伸びた茎を鹿沼土などの水はけの良い土壌に挿すと、節の部分から2週間ほどで根を下ろします。

長く伸びた茎は、いくつにも切断して増やすことができますので、葉を二枚残すように茎を切断し、下の葉をちぎり取り、その節の部分を土に挿すようにすれば、たくさんの苗を作ることができます。

花の見ごろは毎年10月の中旬。

体育の日を含めた3連休には、京阪神からも観光客が訪れます。

 

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