地元への恩返しを忘れない

社長の内山英義さんは会社設立にあたり、とにかくたくさん人のに支えられたと話す。

平成2年、当時登別市が行ったハイテク企業誘致施策に応じて神奈川県の大手企業が現地法人として登別市千歳町に電子機器を扱う会社を設立した。ところが平成25年に横浜市の関連会社2社が相次いで倒産、登別の会社も資金繰りに行き詰まって倒産した。

産業用電子機器の製造を主とし、企画から設計・製造・納品までの一貫した体制を持っている企業は北海道でも珍しく取引先から高く評価されていた。また設立から20年以上経過し地元に根付いていた企業であっただけに、近隣の企業や地域住民のショックも大きかったという。当然ながら地元従業員の雇用確保についても心配された。

内山さんが残務処理をしている最中、「この会社がなくなっては困る。なんとか新しく会社を設立してもらうすべはないか」と取引先だった企業が銀行を訪れる。それも数社の取引先が個々に銀行へ足を運んでいたという。そしてとうとう銀行も動き出した。内山さんの元へ話がきた時には、元の会社の従業員も数人集まっていて、あとは起業するばかりに至っていたという。

平成25年6月に『株式会社カムイ電子』として内山さんが社長となり9名でスタート。現在は内山さんも含む総勢23名で会社を運営している。全員が常に「地元への恩返し」の気持ちを忘れない。


本社工場を見学

玄関で静電気防止用のスリッパへ履き替え専用の帽子を被って工場内へ

 

カムイ電子では主に電子機器のプログラム回路を基板に半田付け(実装)する業務を行っている。まだ何も施されていない緑色の板のことを”基板”と呼びその上に電子回路部品を半田付けすることを”実装する”と言うそうです。パソコンや電気製品などの中に、緑色の板の上に部品が半田付けされている部品です。筆者のパソコンの実装された基板(カムイ電子の製品ではありません)


写真右側に並んでいるのは基板に部品を実装(半田付け)するための機械で、一通りの工程を見せてもらいました。

一番手前側から「クリーム半田印刷機」、真っ新な緑色の基板の上に部品を取付けたい部分にだけ穴が開いている板を重ね、その上からクリーム状の半田が塗られる。その隣は「高速チップマウンター」と「高速汎用型マウンター」、半田が塗られた基板の上に細かい部品が自動的に配置されていく。この時点ではまだ基板を逆さまにすると部品が落ちてしまう状態です。一番奥は「熱風型N2対応リフロー炉」、トンネルのような機械の中で熱が加えられ実装されます。炉の中は温度調整がされていて次第に温度が下がり固まって、炉をくぐり抜けた時にはしっかりと実装された製品が誕生します。

このような自動実装ラインを持っている企業は北海道内ではまだ数える程度だそうです。また平成27年2月に「クリーム半田印刷機」を更新、新たに印刷補正機能やパターン認識機能が兼ね備えられていて、今まで以上にお客様の細かなニーズに応えることも可能となったそうです。またソフトウエアの設計・開発、一般電子機器の組立・配線等、さらに電子機器受託生産も行っており、品種・受注数・納期に於いても可能な限りお客様の希望に沿って実現させるための努力を怠らないそうです。

工場内は見事に整理整頓されていました。


株式会社カムイ電子
代表取締役 内山 英義
〒059-0003 北海道登別市千歳町2丁目10-3
電話:0143-84-8152 FAX:0143-84-8153

第二工場
〒059-0012 北海道登別市中央町7丁目7-1

業務内容:ソフトウエア開発、表面実装、組立配線、設備紹介、ディスクリート実装、基板改造、受付対応システムなど

株式会社カムイ電子

 

(2015.12.2 sachiko