白老のイチイの巨木たち

 白老町には白老八幡神社のほかに入植時に植樹された竹浦の個人宅前、旧白老小学校の中庭、旧竹浦小学校の校庭、そして栄町にある空き地もしくは駐車場にイチイの巨木がある。見る限りどれも数百年は生きてきている。竹浦のイチイは支えや剪定などの手入れがされ人と共に生き、旧白老小学校と旧竹浦小学校の校庭のイチイは、かつての生徒との再会を待っている。栄町のイチイはしめ縄が巻かれながらも、野性味あふれる姿で立っている。

 東北~北海道ではオンコと呼ばれ、その語源は諸説ありはっきりとしない。道民には特にオンコの名前で親しまれ、庭木や記念樹、境界などの印としても利用されてきた。材としても緻密で赤みが美しく、一度乾燥させると水にも強いため、屋外では表札などになるほか、室内では床柱にもされた。赤い仮種皮以外には毒を含む一方で、薬としても利用されている。

 長いものでは1500年以上となる寿命のイチイ。子供たちと一緒に引っ越しを繰り返し、帰還兵を迎えた旧竹浦小学校の巨木も、白老の宝物として寿命を全うしてもらえるよう願い、ここに記しておきます。