概要

洞雲寺は、仙台市泉区山の寺2丁目3-1にある山号「龍門山」、曹洞宗の寺。正式名は、龍門山洞雲寺。本尊は釈迦如来。

壮観

 

歴史

元々は釈定慧(しゃくじょうえ)が蓮葉山円通寺(れんようざんえんつうじ)として開山。その後、明峯素哲が1338年(暦応元年)に創建。

二度の焼失

戦国時代(15~16世紀末)に兵火により焼失。江戸時代、仙台藩第5代藩主伊達吉村により再建されるも1943年に当時の仙台鉄道の排煙や火粉による山火事で、木造だった建物の一切が焼失。その後コンクリート製で再建されたが2011年の東日本大震災により崩壊、取り壊されることになった。2017年に再び建築され、自動ドアの導入といった最新の本堂となった。

本堂

伝説

明峯素哲(めいほうそてつ)禅師がこの地に洞雲寺を開基したことについては、以下のような伝説がある。    

2匹の大蛇が寺を湖に沈め、周りの農民たちを威嚇したため、明峯素哲禅師が大蛇を法力で退散させた。その後、禅師は領主国分氏に請い、湖を賜って水を干してみると昔の寺跡が出現した(写真:岩谷観音洞)。禅師はここに寺を建てて龍門山洞雲寺とした。

岩谷観音洞

こうした伝説が生まれる背景には、かつてこの地域に水害の被害があった可能性が考えられる。また、洞雲寺が位置する谷底低地は、広く開け、湧水もあり、さらに寺の敷地内の数か所には、貝化石を伴う礫岩が存在している。こうした地形や岩を見て、かつてこの場所が湖のような水域であったと考えていたのかもしれない。

文化財

座禅窟

山門から本堂に向かう途中の崖上にある岩窟で、梅国祥三禅師がここで座禅を組んだといわれている。地層は比較的柔らかい泥岩で、場所により風化が進んでいる。風化の進行していない部分は、地衣類に覆われている。

座禅窟

銅鐘

県内最古に造られ(1518年)、現在は宮城県の指定有形文化財となっている。

銅鐘

 

現在の状況

谷底にある寺の周囲は,以前は緑の生い茂る丘陵地の尾根部であったが,1960年代に開発がすすみ住宅街となった。

東日本大震災後も,以前と同様,葬祭やどんと祭などが続けられている。