◎森を守る職人さんたちの苦悩◎

 

みなべ町は紀州備長炭の名産地である。それがゆえに、みなべの森で困った問題も起きている。

紀州備長炭の原木となるウバメガシは、一度きってしまうと再生するのに約40年かかると言われており、成長が非常に遅い木として知られている。

しかし、チェーンソーなどの機械の普及や職人の減少、製炭方法の変化から、ウバメガシを切りつくしてしまい原木資源が枯渇するという問題に直面しているのだ。

そこで、「択伐」と呼ばれる昔からの原木管理技術を復活させ、薪炭林を守ろうという動きが近年活発になってきている。

手入れが行き届いた森

「択伐」とは、木を根元から切るのではなく、太い幹から選択して伐採し、成長サイクルを早くさせる方法だ。この技術により、製炭をコンスタントに続けながらも山を守ることが

できるのである。産業と環境、両方を守る持続可能的な取り組みである。一方で、択伐の技術を知らない職人や企業の介入もあり、ウバメガシを守る活動はまだまだ一部にとどまっ

ている。また、シカの食害など、自然現象との闘いもある。森を守る職人たちの苦悩は尽きない。