私たちを知る手がかり/民話 について知っていることをぜひ教えてください
民話とは
幼い頃に聞いたお話しの多くは昔話といわれるもので、「昔むかし、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは山へ柴刈りに・・・」というような、登場人物の名前や場所などが特定できない表現が多いことに気がつきます。それに対して、「ザシキワラシまた女の児なることあり。同じ山口なる旧家にて山口孫左衛門という家には、童女の神二人いませりということを久しく言い伝えたりしが、或る年同じ村の何某という男、町より帰るとて留場の橋のほとりにて見馴れざる二人のよき娘に逢えり。」例えば柳田国男氏のこの遠野物語の「ザシキワラシ」のように、登場人物や場所が具体的に語られているものもあり、それらを民話として位置づけしているとあります。
「伝説・民俗学が対象とする口承文芸の一分類。一般にはイワレ・イイツタエなどと称され、土地に根差した形で伝承されてきた。・・・昔話が童幼の個的な情操の涵養の一面を担うのと対照的に、伝説は集団の一員としての社会性、アイデンティティの獲得と第一義とする。」(国立国会図書館が全国の図書館と共同で構築している「レファレンス共同データベース」昔話、民話、伝説の違いを知りたいより。)
私たちを知る手がかり
柳田国男氏を始めとする多くの民俗学者や文学者の方々が熱意をもって研究してきた民話という口承文芸の中に、民話が発祥した頃の先人たちそれぞれの置かれていた状況や立場によっては、文字として残すことが出来なかった真実が多く隠されているように思い、また昔話や神話なども含め、古くから継承されてきた文学には、今更乍らではあるが、現代の私たちを知る手がかりが多く含まれているように感じるのです。民話を始めとするお話から、現在の私たちが暮らす地域を照らしてみることで、新たな地域性や視点を見つけられる気がします。
「2017/1/5 菅原由美」