日本人は古くから疲労回復、防腐作用、風邪の予防など、経験的に梅干しを健康食品として利用してきた。

近年になって、主に7つの成分による効果があることが科学的にわかってきた。

 

➀カリウム・・・高血圧予防

カリウムはミネラルの一つ。カリウムは、体液の浸透圧を調節して一定に保つ働きがある。ナトリウムを身体の外に出しやすくする作用があるため、塩分の摂り過ぎを調節するのに役立つ。

 

②B-カロテン・・・抗酸化作用

B- カロテンは植物に含まれる黄色やオレンジ色の色素成分で、体内ではビタミン A として働く。抗酸化作用がある。

 

③エポキシリオニレシノール・・・インフルエンザ感染予防

梅には多くのポリフェノールが含まれている。その中でも新規に発見されたエポキシリオニレシノールはインフルエンザウイルスの増殖を抑制することが明らかとなっている。(特許第 5608854号)

 

④クエン酸・・・高血圧予防・疲労回復食中毒予防、血液浄化作用 骨粗しょう症予防

クエン酸は血小板凝集を抑制し、その結果として血流が改善される可能性が示されている。

また、クエン酸には強い殺菌力があるため、黄色ブドウ球菌や病原性大腸菌(O-157)の増殖を抑制し、食中毒を予防するほか、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因となるヘリコバクター・ピロリ菌の増殖を抑制する。。みなべ町及び和歌山県立医科大学と大阪河崎リハビリテーション大学の共同研究により、クエン酸は日常生活や軽い運動後の疲労感を軽減することが証明されている。さらに、クエン酸にはカルシウムや鉄の吸収進作用があり、骨粗しょう症や貧血の予防効果がある。また、みなべ町内の梅加工業者の梅干が機能性表示食品として、我が国初の梅干として消費者庁に受理されている。これは、梅干しに含まれる「クエン酸」により、疲労の軽減機能があると表示されている。

 

⑤オレアノール酸・・・糖尿病予防

オレアノール酸は有機酸の一つ。オレアノール酸はa-グルコシダーゼの活性を抑えることから、糖質の消化吸収を穏やかにし、食後の急激な血糖値上昇を抑える効果があることについて、「a-グルコシダーゼ阻害剤」としてみなべ町が特許を取得している。(特許第 4403457 )

 

⑥シリンガレシノール・・・胃がん予防

シリンガレシノールはポリフェノールの一つ。シリンガレシノールには胃に障害を及ぼすピロリ菌の運動を抑制する働きがあることについて、「ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)の運動能阻害剤」として、みなべ町が特許を取得している。(特許第4081678号)

 

⑦ バニリン・・・脂肪燃焼 抗アレルギー作用

紀州産梅干に含まれる成分「バニリン」には、ダイエット効果が期待できる。脂肪細胞の培養細胞を使った研究結果では、紀州産梅干には脂肪細胞に刺激を与える作用のあることがわかった。梅干を焼いて食べると効率よく摂取することが出来る。また、バニリンのほか梅に含まれるシリンガ酸、プロトカテクアルデヒド、リオニレシノール、p-クマル酸が、アレルギー反応に関与する肥満細胞の脱顆粒を抑制することから、アレルギー症状の予防・改善の可能性が示されいる。