三原山山頂口を歩いていると大きな声で「こんにちわー」と。
「ん?あ、よっちゃん?昼間もはたらいてるんすか?」。
「ええ、お客さんのおいでのときはね」。
午前中から山歩き。三原山お鉢巡り。火口を観て火口原を歩いて昼過ぎ、外輪山の展望所に戻って腹ぺこで歩いていた。
普通、女の人は夜の方が奇麗に見える(失礼)のだけど、よっちゃんがあんこさんの格好をして紅をさすと何とも可愛い。この日は絣じゃなくて紬に椿の鉢巻き。栄螺、烏賊を山頂口にある歌の茶屋で焼いていた。
「これ食べて」って明日葉まんじゅうをくれるので仲間に配ったら、みんな旨い旨いって買いに行くもんだから。僕は「はい、宣伝料ね」と、また一つまんじゅうを貰うことになる。昨夜、始めて「よっちゃん」で飲んだだけなのに。それも一人1,000円くらいで。
居酒屋の「よっちゃん」は、浜辺にぽつんと有る。元町港から南へ。観光協会の前を通ると直ぐに見えてくる。
元気な女将さん「よっちゃん」がやっている。風の強い日や寒すぎる日はやっていないかも。漁港に面しているので、テラスからは夕日が美しい。この店には2度行っているが、2度目に行った時は大将と飲むことができた。
仕込みながら相手してくれて、終わると客席で僕らと一緒に焼酎を飲み始める大将。
ここで商売始めて15年かな、20年かなあって仕込みだけ済ませたら帰ってしまう大将が言ってた。
なんも頼まなくても、煮物、炒め物、自然薯の醤油漬け、ウツボのカリカリせんべい、鼈甲なんかがゾクゾク出てくる。酒飲まないで運転手役がいると、彼にも普通にお通しを出してくれた。この心遣いがうれしい。
初めて行った時は、店内で面白いことが起こっており、実に楽しい時間を過ごすことができた。
店に入り、席に座ってふと壁を見ると、ホワイトボードがかけてあり、
「2月7日(木) 現在の平均58.25才」
もうこれだけで爆笑。
こんな仕掛け、突っ込まない訳にはいかない。
それを書いたと思われた常連のお兄さんに聞いてみると
「いやぁ、昨日飲んでたら思いついちゃったんですよ。面白いっしょ! 本当は店の入り口に置きたいんですよね~、ははは。
これは昨日の数字なんだけど、今はもう少し若返りそうだな」
そういいながら、店にいた全員に歳を聞き、計算をしはじめた。
この時は女性に聞いても失礼にあたらないのだと、声高々に「いくつ?」と
歳を尋ねるお兄さん。
そこでまた店中大笑い。愉快な店である。
そうこうしているうちにお通しとお酒が出てくる。そのころにはすっかり店内で打ち解けてるって寸法よ。
さんざん飲んでしゃべってほろ酔いのいい気分。
じゃ、そろそろ、とお愛想したとき、一人分だと思って
人数でかけ算しようと思ったら、全員の会計だったり。
え?安すぎね?いいの、いいの。よっちゃんは何時も笑顔。
お天気のいい日は、ここで夕日を観ながら一杯がいい。テラス。