札幌再発見 地元を見つめて  その1

 

北海道札幌啓北商業高等学校 商業クラブ

 

 

 


はじめに

 私たち、北海道札幌啓北商業高等学校商業クラブの3回目の発表テーマは、『地域』です。

過去2回私たちの先輩は、地元札幌を様々な面から調査し、その結果を観光プランにまとめたり、チャレンジグルメコンテストに参加し、札幌の食について調査したりしました。

 

 今年度、新たに研究を始めようとする私たち3人は、まず、この2つの調査研究を読み、次にどのような話題に取り組むかをみんなで話し合いをしながら考えました。話し合いの中では、札幌の食材を使った商品開発や、啓北商業高校のPRなど様々な意見が出されました。しかし、どれも研究をするには大きな題材となり、また、新鮮味に欠けるのではないかと考えました。もっと、身近な話題で私たちが本当にやるべき題材は何か。様々な面からテーマを考えました。

 

 そこで、考えたのが、高校のある南区や石山地区について調査する。また、そこから地域の現状や課題、そして私たち自身が情報を発信することができないかということでした。

 今回の研究は、地元を知り、地元を盛り立てていこうとする私たちの活動の過程を発表したいと思います。将来的には、様々な活動を通して、南区石山地区から情報発信を行い、地域の活性化のため、お役にたてることができればと考えています。

 

1.研究の方法

 今回の研究は、以下の手順で行うことにしました。地元の現状調査を行い、そこから問題点などを見つけ出す方法で行います。

 

2.地元の現状

 

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(1)私たちが生活する札幌南区

 南区は、札幌市の南西部にあり、面積は657.23km2で全市域の約60%を占めています。区の中には、支笏洞爺国立公園が含まれ、緑豊かな自然と人口約14万3千人(平成26年1月現在)を抱える住宅街とが調和した街として発展を続けています。しかし、札幌市南区の総人口に対して、65歳以上の高齢者の占める割合が20%を超えるなど、高齢者の多い地域となっています。

 南区は、札幌のシンボルの一つである藻岩山や豊平峡ダム、定山渓ダムがあるほか、恵まれた自然を生かした大規模な滝野すずらん丘陵公園や石山緑地、札幌国際スキー場などの施設もあります。1972年(昭和47年)には札幌オリンピックが行われ、競技場や選手村だった建物が今でも使われています。

自然が多いため、農業は市内10区中4位の耕地面積があり、果樹栽培も盛んで、観光果樹園は多くの人気を集めています。さらに、定山渓温泉は、夏の涼味、秋の紅葉も人気があり、市内外から観光客が大勢訪れています。このほかパシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)が開催される札幌芸術の森があり、多くの人が芸術にふれるために訪れています。

 

(2)南区石山地区

 私たちの学校がある石山地区は、南区の西側に位置し、土壌は火山灰が厚く堆積した溶結擬灰岩(札幌軟石の原石)が分布しています。明治5年(1872年)から札幌軟石の採掘場として、早くから軟石採掘に関係する入植者が住むようになりました。

 「石山」の地名自体は明治14年(1881年)頃には石材の採掘場として命名されており、軟石採掘だけではなく硬石採掘地域もあり、合わせて「石山」と呼んでいた記録もあります。また、学校の近くには旧定山渓鉄道の石切山駅跡もあり、石とともに地域が発展してきたとも言えます。

 

 

 

3.そしてテーマを決める

 私たちは、今まで漠然と南区石山地区の現状を調べ、そこから課題や提案をしようと考えていました。しかし、それでは、調査の範囲が広すぎて、どこから手をつけてよいか、具体的に何をするのかが見えてきませんでした。

 そこでもう一度、私たちは話し合いをし、テーマ設定をもう一度やり直すことにしました。私たちは何のために調査研究をするのか、そして何を結論とするのか、そのためには何を調べればいいのかという、根本の問題まで考えることになりました。しかし、多くの案が出たものの、私たちの中では、しっくりくるものではありませんでした。そのため、話し合いを続け、新たにほかの情報を得るために、街に出て考えることにしました。

(1)街を歩く

 私たちは、まず地元を知るために街を歩くことにしました。普段、登校の際に通っている道ではありますが、このように改めて歩いてみると様々な発見をすることができました。

近くには石山商店街というあまり規模の大きくない商店街がありますが、空き店舗があまりなく、それぞれが地元地域に溶け込んで商店をやっているような雰囲気でした。後から、ホームページで調べたところ振興組合では、高齢者のための朝市や夕市を行っており、高齢者のための買い物支援も行っているそうです。

 また、歩いている途中、地元の人に石山地区の印象を聞いてみました。その人は、駅からも遠くなく、緑も多い住みよい街だといわれました。

 緑の多さについては、近辺に石山緑地や藻南公園もあり、この二つの公園には、札幌軟石を使ったオブジェなどがあり、子供たちが遊んでいました。

 特に感じたことは、この札幌軟石を使った建物が多く、ぽすとかんという建物では、札幌軟石祭りなども行っていました。

石山緑地では、札幌軟石を使ったオブジェが多くあり、ホームページで調べたところ、キャンドルナイトというイベントや、近くにある芸術の森とともに多くの芸術イベントを行っているそうです。

 

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(2)小原恵さんとの出会い

 学校の近くに辻石材工業株式会社様という札幌軟石を扱う企業があります。この会社は、札幌軟石を扱う唯一の企業でもあり、軟石の採掘場を持っています。縁があって、この会社の従業員で、札幌軟石を広く普及させようと『札幌軟石アテンド』として、様々な活動をしていらっしゃる小原恵さんとお話しする機会がありました。

 小原さん自身も、建築現場で石の端材を見て、もったいないから何かに使えないかと手のひらサイズの石の家を考案し、吸水力があり乾くのが早い特性を生かし、アロマストーンとして提案したそうです。私たちは、小原さんが考えた石の家や石にマグネットをつけて雑貨にしたものを見せていただきました。

 小原さんは「石山の人にとっては空気のような存在の札幌軟石ですが、そのほかの地域では、認知度はまだまだ。」「もし、地元のことを調べているなら札幌軟石も一つ候補に入れてみたらどうですか、皆さんが興味を持っていただけるなら、ぜひ一緒にやっていきたい。」など言っていただけました。そして、「一度軟石採掘場に来てみてください。いろいろと見せてあげますよ。」とも言っていただきました。私たちは、小原さんのお話を聞きながら、私たちのやるべき大きな話題が提供されたように感じました。

 

 

 

3.そして、テーマの決定

 そして、もう一度話し合いをしました。今まで、街を歩いてみたり、地元の人にお話を聞いてみたりしました。最初は、商店街の現状と課題を研究したり、札幌軟石を使った窯で焼いたピザなどを地元石山の商品として作ってみたりなどの話題がでていました。

しかし、どれも私たちの中でしっくりくるものではありませんでした。商店街の活性化は、様々な場面で提案がなされており、実際に実行されていることも聞きました。また、食品を使った商品開発も地元石山に根付くものとは考えられませんでした。

そこで、考えの結論に至ったのが、やはり小原恵さんのお話でした。ここ石山でしか採れない札幌軟石自体をテーマにすべきではないかという結論になりました。

 私たちの手で、札幌軟石の良さを研究し、PRの方法を考えたり新たな利用法を考えたりやれることは多いのではないかと考えました。

 

4.何を調査研究するのか

 次に考えたのが、テーマとした札幌軟石をどのように私たちの研究にするかです。今回は、当初やっていた札幌南区の調査研究をいったん休止して始めることとなり、時間がない中での調査研究でしたが、話し合いの結果、次の内容を行うこととしました。

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 札幌発見 地元を見つめて その2