高校生や大学生たちへ

 「生きてればいいことあるよ。下り坂ばかりじゃない」というのは大学で研究室に入るまで本当に「腐っていた」から。

 本当は生き物のことやりたくて結構勉強していた。ところが、道外の国立大学を受験して失敗。いやいや札幌市内の工学部に通った。「正直、腐っていていつ死んでもいいくらいに思っていました。自分の努力不足なのに、環境や他人のせいにして、依存心の強い状態でした」といいながら、自営業で真面目に働く両親のもと育ったせいか、「腐っても」根は真面目だった。大学には毎日通って単位をとることだけは淡々と続けていたという。3年がすぎて、工学部の中にも生化学系の学問があることを知り、微生物を培養する実験のできる研究室を選ぶと、その実験が楽しくて仕方ない。さらにこの勉強をしていれば人の役に立つものを作られることを知って、光がさした。大学4年生の1年間は本当に幸せな気持ちで研究室に通いつめることになる。水を得た魚のような息子を観て、両親も安堵したそうだ。

 

生化学を学び、大腸菌を育て、有益なタンパク質を生産する

 「大腸菌にタンパク質発言遺伝子を組み替え技術で持たせる。この微生物を時間や温度などのパラメータを変えて「育ち方、タンパク質の生産量を調べるシンプルな作業をしていました」という。先輩から引き継いだ系統研究で、「2種類は結構いい量のタンパク質を生産させることができました」何げに楽しそうに話すが、4年生の1年間の学部研究で成果を出すとは、かなり作業センスのいい人のようだ。就職サイトでアミノアップを知ってエントリーした。
 今は製造部門に着任して一年。「自分は研究者よりも本当に製造が向いていると思う」と言う。新たな製品を開発する以上に、人々の健康の役に立つとわかっている機能性素材を安定して生産ことを幸せに感じる。工場全体の製造工程を改善したり、マネジメントに興味があるという。
 

入社後会社の水準の高さに感動

 食品て大事だと思って、食品の製造の仕事としたいと思っていて、入社できただけで嬉しかった上に、先輩たちが優しく、人柄も素敵で、公私ともに居心地がいい会社。そして、何より一番驚いたのは会社が支援しているICNIM(合医療機能性食品国際学会)の存在だった。「例えば、AHCCを世界中の研究者たちが一所懸命に研究する姿を観ました。効果のないものをそんなにこぞって研究しないだろうと感じました。自分が大切なものを生産させてもらっているんだと実感しました。ちょと難しい議論もあったので、勉強を続けたいです。私にとっては最高の環境です」という。学会の会場では英語や中国語の同時通訳で説明されるスライドを見入っていたという。ICNIMの会員は国内約1100人、海外300人ほど。年会には海外から150人以上、全体で400人を超える参加者を毎年、札幌に迎える。日本を含めると30近い国や地域からの参加がある。

 

子供の頃から生物が好きだった

札幌市の東区に祖父母が札幌伝統の玉ねぎを生産する農園があった。近くに暮らしていたので、よくそこに遊びにったという。また、両親が、北海道中をキャンプ連れてってくれた。美幌で自転車を借りて、川遊びをしたことなどよく覚えている。そんな中で、自然や生き物の不思議を感じ、興味を持つようになって行ったと言う。自分の好きなこと、強い興味を持ったものを大切にしていると、仕事にいい影響が生まれそうだ。