羅臼の流氷

そもそも流氷ってなんだ?

 

流氷とは、海の水が凍り固まった氷が海氷です。波や風などで流されているものを流氷と呼びます。まだ、岸に付着していて動かない海氷は沿岸定着氷と呼び区別しています。しかし話し言葉では、広い意味で、海の氷全てを流氷と呼んでいます。

流氷は気温が低くなればなるほど厚くなります。北海道付近の海では3月中旬には厚さ30cmに達します。ときには氷と氷が重なり合い厚さ数メートルの氷の山などができます。

厚さ20cm~30cmくらいの流氷

 

2月上旬から3月中旬に羅臼の真っ青な広い海が一夜明けると、辺り一面真っ白な氷の野原に変わります。この光景は羅臼の全ての海で見ることができます。氷の野原(流氷の海)には広大さ、明るさ、静かさがあり、そしてオオワシ、オジロワシの大群が氷の上で羽を休めています。我ら人々に地球環境のこと、人生のこと、命の大切さを考えさせる何か不思議な力を秘めているように思います。

オジロワシ(左)とオオワシ(右)

 

流氷の移動パターンには決まった経路があるわけではありません。氷が生まれる冷たい西高東低の気圧配置の北風が強く吹く場合には、流氷は北海道周辺に多く流されます。反対に、暖かい風が運ぶ南風に流されると流氷も北海道まで到着できなかったり、沖の方へと流されてしまいます。ですから寒い冬に羅臼で流氷を見ることができるのは、寒さのためというよりかは、北風のおかげなのです。オホーツク海側から羅臼に到着した流氷はまたオホーツク海側へと戻っていきます。

 

この時期、羅臼町は気温が平均-2℃~-7℃とかなり冷え込んでいます。最も寒いときには-10℃にもなることがあるので手袋・マフラー、厚着などをして防寒対策はしっかりしましょう。双眼鏡があれば流氷の上に留まっているオオワシやオジロワシ、アザラシなどが見ることができます。3月上旬にはすごく大きなトドなどを見ることもできます。

 

現在、オホーツク海に到着する流氷は現象の一途をたどっています。地球温暖化の影響によりアムール川から作られる氷の厚さも薄くなってきており、北海道に到着しても氷が僅かであったり、期間が短かったり、少なからず温暖化の影響が垣間見えます。流氷は、気温によって支配されています。全てが地球温暖化のせいと断言はできませんが、少なくとも警告と考えるべきではないでしょうか。

 

流氷の下には何があるのか?

 

普段そんなことは考えませんよね。

 

羅臼の流氷の下にはプランクトン、クリオネなどが生息しています。

春になると植物プランクトンが一気に増殖し、動物性プランクトンも増えオホーツク海の漁場を豊かになり、羅臼の流氷の下には「流氷の天使」とよばれるクリオネなどのプランクトンを捕食する生物も多くなります。

クリオネは肉食動物なのでエビなどのプランクトンが海水の中にないと長生きできず、1週間に一度海水を取り替えれば一年間は生きています。

他にもキタユウレイクラゲ、シモフリカジカやツリガネクラゲなど冬の海の生物がたくさん生息しています。

 

羅臼町に流氷が到達するのは2月~3月頃ですが、天候・気圧配置に大きく影響されるため確実性はありませんが、そんな旬の流氷を見るのもいいかもしれません。

羅臼に来てスキューバダイビングなどもすばらしいと思います。流氷ダイビングは冬の海を見られる唯一の方法だと私は思います。もし、潜ってみたいと思った人は知床ダイビング企画にお問い合わせしてみてはどうでしょうか。

 

冬の羅臼の海

 

このように羅臼には冬の魅力を堪能することができ、流氷の美しさと迫力を探究できるすばらしさが備わっています。

 

羅臼の流氷の動物たち

アザラシ

クラカケアザラシ

 

流氷シーズンの到来と共にオホーツク海沿岸各地ではアザラシを見る機会が多くなります。

羅臼ではクラカケアザラシとゴマフアザラシが流氷上で休んでいることが多いです。

観光船などに乗って見ることができ船の上からかわいらしい仕草などが見られることができます。

 

※よく見られる時期 2月~3月

 

オオワシ

 

オオワシが、飛んでいる様子

 

日本に住む猛禽類の中で最大で、尾、肩、ひたいが白いのが特徴。

オオワシは、世界的にも珍しい動物でオオワシを見に羅臼に来る観光客もいます。

越冬地もオホーツク海と日本海周辺に限られてて、その中でも羅臼周辺では多く見ることができます。

 

※よく見られる時期1月~3月

 

オジロワシ

 

オジロワシは全体的に茶色で嘴は黄色、食性は肉なら何でも食べる。現在オジロワシは絶滅危惧種に認定されている。

オオワシはオジロワシと違い1年中羅臼に滞在し、空を見上げるとちょくちょく見かけます。

オジロワシはオオワシより小さいですが、それでも羽を広げたときにはカラスの約3倍の大きさになります。

 

 

※よく見られる時期1月~3月(一部留鳥)