新しい公共とオープンソース(関さん2/3)

新しい公共とオープンソース(関さん2/3)

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  • sinsai.infoが素早く立ち上がった背景には技術者達の「公共感」があった

「みんなの努力が同じ方向に向かう。同じようなものをみんなで作ってもしょうがないじゃないですか。公開することで、他の人たちからの手助けが受けられる。良い物でないと手伝っていただけないのだけれど、新しいパブリックそのものですね」とオープンソースについてGeorepublic Japanの代表社員の関治之さんが教えてくれた。

 

「情報を公開する人のところに情報が集まってきます。いい情報を出せば、いい情報が入ってきて、ギブ&テイクの形が起こって、信頼関係が生まれます。そのやり取りが、この人はこういう人だというブランドに成長します。この前提としてコミュニケーションのリテラシーが必要です」。これが新しいパブリックだという。世界をまたぐ大きな「ムラ」ができるようだ。

 

関さんはこの公共感を「ネット上のツールの発達に応じて、使いながらコミュニケーションを通じて身につけた世代」なので、その中で自然にリテラシーを身につけた。この後の世代には、この新しい公共空間でのリテラシー教育が必要だという。

 

ウシャヒディを事例にすると、位置情報を持ったレポートが地図上で分かりやすく見られるソフトウエアだ。オープンデータ、つまり、データを他のシステムが利用できるようになっている。オープンソース、つまり、システムのソースコードを公開していて、開発スキルがあって、利用したときに改善したものを返す礼儀があれば誰でも活用できる。

 

ハイチの地震のときは、ハイチの人や、アメリカの学生、そして、オープンストリートマップ・ファウンデーション・ジャパンに参加していた日本の技術者など世界中の技術者がその運用に参加し、開発した成果を書き戻していた。

 

最初は、ケニアの選挙後の暴力を監視して牽制するために、地図上に表記した技術。使い勝手を良くしながら、世界中で使われるようになっていった。2,300人の使い手が参加して、18カ国語に訳されて、130の国にインストールされているという。「ケニアの爆弾がどこに落とされたとか、位置情報と必要な情報が組み合わさっているものであればユニバーサルに使えるんです」。最近では国連のキャンペーンでセクシャルハラスメントを防止しようというマップにも使われているのだそうだ。

 

「私はオープンソースの世界の住人なんで、そういうルールのなかで暮らしているのですが、パテントとかでビジネスをしている感覚とはまったく違うかもしれませんね。あと、フリーとオープンは意味合いは違うんです。例えば、グーグルマップは無料だけど、ソースは公開されていないので、オープンじゃない。オープンソースは、商用でも使ってもいいし。開発段階からその課程も含めてソースが公開されているんです」

 

「最近ではオープンソースソフトウエアのほうが市販のものよりクオリティが高いですね。技術者の世界の独特の関係性があって、リーダーがいないわけではないのですが、トップダウンというよりはボトムアップで物事が進むんです。自発的にやるべきことを自分で決めて、成果を公開して共有してゆくんです。最初は、メーカーが管理して開発した製品と比べてどうなのかなという時代もありました。それが、ウェブサーバーのアパッチあたりから、明らかにその品質が既存の製品よりも優れているものが出てきたんです」。この技術と技術者の文化の両方が私達の暮らしを改善するレバレッジになることを願っているのだという。

 

(取材日:2011年12月19日 ネットアクション事務局 杉山幹夫)

 

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

This article( by ネットアクション事務局 )is licensed under a Creative Commons 表示 2.1 日本 License.

 

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