漁業の再生に学ぶ
~ うらと海の子再生プロジェクト ~
塩竃市内にお住まいで被災され、「このパソコンも倒れたたんすの下から救い出したもの」と冗談交じりに仰る、Hack For Miyagiの小泉勝志郎さん。松島湾の離島、浦戸諸島(宮城県塩竈市)で牡蠣の養殖を復活させるために全国から資金を集める『うらと海の子再生プロジェクト』立ち上げの主要メンバーでもある。
「弟が牡蠣の養殖を営む塩釜の漁協では50歳以下は青年部なんですよ。僕の弟は36歳だけど青年部。『おまえ青年じゃねーじゃん』って、からかってますけどね」
その弟さんは30歳のときに「漁業をやりたい」と一念発起し、浦戸諸島の一つ、桂島で養殖業に取り組んでいる。
「漁師の仕事は、漁業権がないとできない。それは一子相伝みたいな形で継がれていく。だから若い人、新たに漁業をやりたい人が、なかなか入れない世界なんです。そんな訳で、もともと漁業の高齢化は進んでいました」
「だから、震災を機に、もう養殖は止めよう、という人も多かった。養殖に使う道具もみんななくなってしまいましたから。『うらと海の子再生プロジェクト』はそういう状況を変えるきっかけになれたと思います」
「復興」は、地域がもともと抱えていた問題の解決でもある。東日本大震災では漁業従事者の高齢化や業界の狭さという問題も浮き彫りになった。漁業従事者の大半が一人で漁業に従事しており、しかも約4割は65歳以上だ(「2008年漁業センサス第5巻海面漁業の構造変化に関する統計」2010/11/16公表)。この現状を踏まえた復興支援策が必要だし、そもそも実態を知ることが重要だ。
小泉さんの本職はITエンジニア。震災前から東北デベロッパーズコミュニティというITコミュニティを運営していて、それがHack For Japanへの参加につながった。
「養殖プロジェクトをやるまで、漁師さん達のそんな実態も知らなかったですね。初めて知ったことがたくさんありました。プロジェクトの方は、道具も大分揃って、もう大体軌道に乗ってきたと思います」
「わたし、牡蠣をいっぱい食べて支援します」「ちっちぇー(Hack For Japanスタッフ冨樫氏)」「宮城の牡蠣を、一人でも多くの人が食べてくれればいいんです。食べてくださいね」
(取材日:2011年12月18日 ネットアクション事務局 前田由美)
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