「元気」とは経済活動を続けること

 

福島商工会議所青年部の佐藤雅一さん。建設機器や、廃棄物処理に用いる環境機器などの販売・レンタル・修理を行う佐藤マシナックス工商株式会社の社員だ。雅一さんの祖父が起こした会社で、社名は叔父さんが考案した。「マシン+X」で「機械の生み出す可能性を扱いたい」という。雅一さんは将来の経営者だ。

 

下水管を自動的に掘削する巨大な機械を「すごいでしょ」と紹介してくれた。しかし、一番自慢するのは社員の方のこと。真っ黒に日焼けしたつなぎ姿の社員を「カッコ良いでしょ」と。巨大なクレーンが動くヤードは、雨よけの屋根があるだけで、外気にさらされる。夏は陽射しで屋根が焼きつき、なおさら暑く、冬は陽射しが遮られ、冷たい風が通り抜ける。「ここが一番過酷なんです」と社員に尊敬と感謝の視線を送る。

 

発災直後、社員とお取引先の安否確認をした。携帯電話のメールすら通じないので、実際に足を運んだ。「そちらこそ大丈夫?」と取引先に驚かれながら、安否を確認することで雅一さん自身が一番安心したという。twitterやmixiも活用できた。妻の妹には、mixiでの友達を介して、安否情報が伝わった。一方で情報は氾濫した。twitterでは根拠なく「逃げろ」という情報が流れた。「逆に行こう」とむやみに行動せず、情報の根拠を考えるようにした。自分は「○○さんと一緒に居る」「○時○分現在、給水所は○分待ち」と、体験から正しいと言える情報だけを発信した。「情報をうまく読み、扱うための教育が要る」と話す。

 

数多くのボランティアが訪れて来てくれた。熱意をもって取り組む彼らを見て、自分も何かしたいと考えていた。
「福島は元気です」と伝えたい。これまでの経済活動を続けていることを発信したい。農家なら桃をつくり、建設業なら工事。「会社のお客様は、建設業など復興に直接関わる方々が多い。仕事を止めてはいけない」。土嚢袋やブルーシートを大量に入手しては配り、建設機器を調達し、修理し、少しでも早く現場に届けた。

 

そして、福島商工会議所は福島市とともに「自分たちが元気に経済活動をしていること」の情報発信をしてきた。「行政職員の方は、自分も被災者で、家族の心配があるにもかかわらず、発災当時から街のことを優先し、精一杯頑張っている。凄い」という。
2011年11月には、伊勢市商工会有志に招待され、伊勢神宮に福島の農産物を奉納し復興を祈願した。福島の農産物と元気を伝えた。

 

(取材日:2011年12月9日 ネットアクション事務局 杉山幹夫・森崎千雅)

 

 

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