住所 室蘭市中央町3-6-18

電話 0143-22-9733

年中無休 (お正月を除く)

 


握る姿を眺めながら頂く贅沢

中央町。小公園から舟見町方向へ道を曲がるとすぐに左手に見える暖簾と看板。《江戸前・よし寿司》。老舗である。20年近く前に知人からお土産で《よし寿司》の太巻きを頂いたとき、酢飯の美味しさに感動した。が、やはり回らないお寿司屋さんは、敷居が高くなかなか足が向かない・・・

しかし先日家人が《よし寿司》でランチを食べてきたと!これは行かなくては!!秋分の日、祭日だけどやっているかなぁ・・・お休みなら天勝で天とじ蕎麦って手もあるなぁ…と車を走らせると、青い暖簾がはためいている!!ちょっとドキドキしながら暖簾をくぐって店内に。

カウンターの中から「いらっしゃい!!」と小気味良い声。「ランチを二つお願いします」 「はいよっ!」 カウンターにガラスの寿司台が置かれる。
お茶とおしぼりを運んでくださるのは大将の奥さま。寿司台に先ずはマグロと海老がすっと置かれる。

 

 

「すみません、写真を写してもよろしいでしょうか?」 

「いいですよ。どーぞ!」 

「あの…実はlocalwikiというもので 長く御商売をされていらっしゃるお店や美味しい室蘭のお店を紹介させて頂いているのですが、そこに載せさせていただいてもよろしいでしょうか?」いつもこのお願いをさせていただくときは、鼓動が早くなる。

「へぇ~!そんなのやってんだ。へぇ~!」「あっ!写真撮るならこれじゃない方がいいな」

そう言って大将は独特のリズムを取りながら握っていく。たぶんいつもは2貫ずつくらい握ってはすっと出して・・・というスタイルなのを、写真の為に綺麗に並べてくださっている。

「昔はこの辺だけで、48軒のすし屋があったんだよ。今じゃ、みのる寿司さんとうちの2軒だけになちゃったね~」

 

いろいろなお話を聞かせてくださいながらも、手の動きは止まらない。あっという間にランチ握りが完成。握り9貫、新香巻、卵焼き。おまけで太巻きの端っこも皿にのせてくれた。江戸前なので大きすぎず食べやすい。卵焼きが素晴らしく美味しい!!奥さまが運んでくださったとうふのお味噌汁には焼き海苔が浮かんでいて、ほのかな磯の香りがする。このボリュームで1000円!!

「これは今の秋鮭のイクラ。醤油漬け。また、さっきのイクラと違うから食べてみなよ」

 

大将のお年を伺う。 「77.喜寿だよ」 「こいつはシャリ炊き専門なんだ、こいつの炊いたシャリじゃなきゃ味が変わっちまうんだよね。」 とカウンターの中で大将の横にいらっしゃる職人さんを指す。奥さまの弟さんだそうで、開業以来ずっと一緒にお店を支えてこられたそう。中学卒業後からずっと。

 

いつごろからランチを始められたのか伺うと6年くらい前からと。なんと70代になられてから新しいことにチャレンジされたということ!!

「人も減ったしさ、少しでも夜の営業に繋がれば・・・って始めたんだけどさ。今まで夜来てたお客さんも昼食べに来たりしてさ、全く儲からないね~」 

「うちは正月以外は年中無休。時間も通しでやってるんだ。珍しい人がいてさ、札幌からうちの寿司食べるためだけに来たってご夫婦がいてさ。そんな人もたまにいたりするからずっとやってるの。せっかく来てくれてやってなかったら申し訳ないもんね」

「90ぐらいまで現役でやりたいね~!でもシャリ炊きのこいつが元気でいてくれないとなぁ」

 

創業から47年。

77歳の大将と ホールを取り仕切る奥さま。創業からシャリ炊き一筋の職人。

 

心意気と一緒に頂く握り。

他では味わう事の出来ない贅沢。

 

 

2015.9.23 撮影・文 中村 麻貴