法船寺(ほうせんじ)、済度山は、酒匂にある日蓮宗の寺院。本尊は三宝(1)或いは宗祖奠定の大曼荼羅(4)と祖師像(1)(4)。江戸時代には鎌倉比企ヶ谷・妙本寺の末寺だった(1)。
沿革
寺伝によると、文永11年(1274)5月12日に日蓮が鎌倉から身延山に向かう途中で当地を経由したときに(同日、日蓮が酒匂に宿したという記録が『注画賛』にある)、修験者の飯山法船という人が日蓮に帰依して、自宅に宿泊させた(1)。
のちに法船は、自宅や土地を喜捨して寺院を建て、越中阿闍梨朗慶に頼んで開山第1祖になってもらい、法船夫婦が開基となった(法船は正応元年・1288没、法号:済度法船。妻は同2年・1289没、法名:済安妙船)(1)。
什宝
祖師像
本尊の祖師像は、『風土記稿』によると開山・朗慶の作(1)、『全国寺院名鑑』によると日法の作で(4)、日朗の開眼(1)(4)。
お手引き地蔵
1970年当時、「お手引き地蔵」があり、宗祖(日蓮)が開眼したとされていた(4)。
境内
1970年当時、境内は505坪(約40.9m四方)、建物は本堂44坪(約12.1m四方)、庫裡、地蔵堂、山門ほか(4)。
龍灯松
境内には、龍灯松と呼ばれる周囲1丈4,5尺(4m余)の老樹があったが、19世紀前半に近い頃、火災で焼け、枯死した(1)。
鐘楼
鐘楼は1978年(昭和53)に新築された。設計施工 建築工事:天野工務店、石垣工事:石井石材店、屋根工事:門松瓦店。(3)
五重塔
総檜造り、本瓦葺の五重塔。1993年(平成5)に竣工。横浜・日吉の(株)天野工務店が施工。檀徒1,300人の寄進によって完成した。(2)
年中行事
- 1970年頃、毎年5月12日に「宗祖御一泊日大法会」を開催していた(4)。
- 1970年頃、「心配事相談所」、書道会を開催(4)。
寺紋
寺紋は日蓮宗橘。(2019年調査)
リンク
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Ai QualiaのYouTube チャンネルに、同寺の下津行輝住職が「お悩み」に答えている動画がいくつかあり、紹介動画に境内や本堂の様子が収録されている。
- 日蓮宗ポータルサイト 川端祖師 法船寺(最終更新 2017年4月14日?)
- 「濟渡山法船寺。日蓮上人投宿の地」『猫のあしあと』更新時期不明
- jinsan0716「旧東海道を歩く(国府津~小田原)その3・小田原:法船寺~昌福禅院」JINさんの陽峰農遠日記、2019年2月10日
- 著者不明「済度山法船寺(小田原市酒匂)」日蓮聖人のご霊跡めぐり、2016年11月30日
- yummy21「小田原市酒匂 法船寺の五重塔」小田原な日々、2011年9月8日
- mixiユーザー「日本各地の塔コミュの[神奈川] 小田原市 法船寺 五重塔」2008年2月8日
参考資料
- 『風土記稿』
- 法船寺五重塔の現地案内板(2022年調査)
- 鐘楼基礎の銘板(2022年調査)
- 全日本仏教会寺院名鑑刊行会『〈改定版〉全国寺院名鑑 北海道/東北・関東編』同左、1970年3月(初版1969年3月)、p.422