逢いたかった方たちが1年を振り返る について知っていることをぜひ教えてください

「おかえりーー!」

2か月ぶりに室蘭を訪れた筆者(まだ訪問2回目)に

こんなに暖かい声をかけてくれる素敵な人たちが室蘭にいる。

この日は室蘭Wikiの1周年のお祝い。

この活動をとても楽しんでいる方々が1年を振り返って話してくれた。

 

「雑誌をパラパラめくる感じで読んでもらえる位のものがいいかなって」

 

中村 麻貴 さん

とても読み手志向な思いを話してくれた中村さんは記事を書くときはできるだけ写真を使って、短い文章で表現することを心がけているという。

「最初は北京亭の記事への追記でした。そのうち写真をアップしたりお散歩の記事を書いていったら室蘭のいいところをどんどん発見できて、外の人もすごく室蘭を褒めてて、あぁ、室蘭ってすごいんだって。」

中村さんはすてきな写真をたくさん撮って、取材をして記事も書いて、はさみを買ってトレイルの草刈りまでしてしまう。本当にすごいエネルギーだ。それに、室蘭のことをすごく好きなのが伝わってくる。

 

 

 

「私は何もやってないの。皆がすごいの」

そうして一歩も二歩も引いた謙虚なことをおっしゃっていたのは原口益子さん。

原口益子さん

原口さんは室蘭wikiに記事を書いたことはない。

書いてる人や記事のいいところを見つけて、本人達に伝える。それが他の人には出来ないことだと他のメンバーは口をそろえる。

原口さんに褒められると、とてもいい気分になってしまってどんどん書いてしまうらしい。

筆者もまだ数えるくらいしか会っていないのだけど、その全ての場で元気をもらった。とても場が和むのだ。

きっと室蘭でもそうなのだろう。いなくてはならない人だ。

原口さんがいると皆楽しい。「ねぇー」

 

「幸子の書いた記事に救われた」

高橋亮子さん

そう言って話してくれた高橋さん。その背景には室蘭市で進められている小学校の適正配置、統廃合があった。

長年続く児童減少によって、平成27年4月から4つの学校が統合された室蘭市立みなと小学校で、高橋さんはPTA活動をされていた。

統合される前の小学校はそれぞれ長い歴史があって、関わる人の色んな想いがある。

一つになるというのは良いこともあるが、学校、子ども、両親、周辺ご近所・・・多くの関係者の意見をまとめるのは容易ではない。

きっと大変な状況もあっただろう。イベント一つ行うのも骨が折れるはずだ。

2015年6月20日、みなと小学校では運動会が開かれた。

その運動会が見事な運営がされていたことについて、高山幸子さんが記事を書く。みなと小学校 はじめての運動会

高山さんと高橋さんは水泳少年団で子供同士が物凄く仲良くなったのがきっかけ。

「その記事をある時読んで、誰かが見ててくれたんだって思って、泣いてしまったんです。本当、うれしくって」

 

「自分の書いた記事が友人を励ましていたなんて思わなかった」

 

高山 幸子 さん

「当日の運動会はすごかったんです。グラウンドを使った駐車場は生徒の親が交通整理をしていて、大渋滞もなくて違法駐車は1台もなし。これってすごいことだなって思って運動会もすっごく楽しくて。きっと頑張ったんだなって。それで記事を書いたんです。」

高山さんも一児の母。子どもが小学生の時、2校が統合されて、高橋さんのようにPTA活動でご苦労されていた経緯があったのだという。

 

「ありがとうね。」

 

「お互いの子どもが友達同士って仲で、こういう話、したことなかったね。」

 

たった一人の友人のために書いた記事。

けどそれは室蘭の魅力として他の人に映る。

 

 

 

「ふるさとの室蘭なのに、知らないことだらけだって気づいて恥ずかしかった。」

 

菅原 由美 さん

小さい頃から本が好きだった菅原さん。

ある日、余所者から室蘭の文学のすごさに気づかされた。

「長い時間がかかるかも知れない。でも触れて行きたいと思った。」

菅原さんは記事の中でそう綴っている。

 

書かれた記事はどれも単なる作品の紹介や批評、感想文が載っているのでなく、

作品の描写から伺える当時の情景や作家の出で立ち、室蘭への抱いていた思いを記述したり、

文学館や図書館のことやその場所を運営している人たちのことを書いている。

菅原さんの文章からは室蘭で生まれ育った作家たちに、そして室蘭という土地に対して尊敬の念が感じられた。

室蘭で、本を読む。またやりたい事が増えた。

 

「カネコさんのところの記事は印象に残っているなぁ」

 

櫻井 孝 さん

リーダーの櫻井さん。

1年前にlocalwikiを知ってリージョンを立ち上げた。同級生や友達にこれ、やってみない?って勧めていたら、メンバーはどんどん集まっていった。

「自分1人でたくさん書くのは違うかなと思っていた。最初は、Facebookとかに友達がアップしてる室蘭の文章や写真をlocalwikiに転載していくのがいいのかなと。でもそれもちょっと違った。」

初めての方に記事の書き方、写真や地図の編集のやり方をわかりやすく教えて。昔から野球部活のキャプテン、バスケットボールの監督をやってきた。チームを引っ張ってきた櫻井さんならではの優しい気遣いがある。

地元で生まれ育ってきた櫻井さんでも、活動を通じて初めて知ったこと、思い出したこと、知りたかったことが知れたという事がたくさん起こったという。

学生の頃から体が大きかった櫻井さんはジーパンを探すのも大変だった。輪西にあるジーンズショップ・カネコに自分のジーパンを出したら、糸を全部ほどいて、体にぴったりのジーパンを仕立ててくれた思い出があるという。

この活動を始めて、輪西の街を歩いた時に久しぶりにショップを訪れて、いろいろと思い出すことがあったのかもしれない。 やってますよ、どうぞ は過去の自分の記憶とお店への賞賛、今の営みが描かれている。

                    櫻井さんがやりたかったことの一面がうかがえる。

 

 

「室蘭を少し離れていたリハビリになってるかもしれない」

 

室蘭には昔住んでいたが一時期離れ、3年前くらいに帰蘭されたとのこと。記事やFBの投稿を読んだり書いたりしているうちに、

 

ふるさとの室蘭を再認識している。荒瀬さんも最初は記事が書けなかったという。最初は記事の誤字脱字修正をしたり、Facebookへ投稿しながら徐々に動き始めていった。印象に残っている記事は室蘭港に停泊しているタグボートを扱った記事「カッコイイ!!」とのこと。

荒瀬さんが編集された記事を読むと、Openstreetmapの見せ方の工夫やマニュアルの作成、記事に動画を埋め込んだりと、他のメンバーとは違うアプローチも研究されているようだ。こうした取組は室蘭への貢献だけでなく、localwikiそのものや関連する技術の改善につながる。

「好きなようにやっているよ。でも記事は書かないけどね笑」

戸子台敏雄さん「移民ですが・・」と本人記

 

トコさん、トコさん とメンバーから呼ばれる戸子台さんは、

すごく明確に、そしてあっけらかんとご自身のスタイルを話してくれた。

確かに記事を書くことはあまりされていないが、

室蘭市街を流れる知利別川とそこに飛来するカモ吉については誰よりも詳しい。

そして素晴らしい写真をたくさん撮影されている。

知利別川を題材にした 水辺の愛 はトコさんもお気に入りだ。

普段、気にしたことのなかった川をこれほど見ている人がいる。いざ歩いてみるとすごく気持ちのいい空間があると長年住んでいた人もあっと驚いたという。

最近はOpenStreetMapの編集に夢中になっているそう。それでも知利別川とカモ吉の写真のストックはまだまだあるらしい。

この記事のように、街中に出ると色んなトコさんを見かけることもできそうだ。→ トコ散歩~お供をつれて

 

 

「トレイルの記事をみて草刈りに参加したくなった」

室蘭Wikiへの参加は最近からという斉藤さん。

キャプションを追加

きっかけは、この数か月にたくさん投稿されたトレイルの記事だった。

トレイルの草刈りイベントに興味を持ち、飛び込んでみたという。

草刈りの様子は 2015.8.15トレイル草刈り の記事があがっている。

メンバーの集合写真は、さながら鬼退治へ行こうとする桃太郎の仲間たちのようだ。

やることは草刈り。でも皆は満面の笑みになっている。

草刈り当日はとても暑かったらしい。張り切り過ぎて、軽く熱中症になりかけるほど夢中になってしまったが、

帰ってきてらすっかり回復し、北京亭のチャーメンをペロリと平らげてしまったと笑いながら話してくれた。

 

「皆が大事にしている場所の草を刈りに行く」こういう事は筆者が住む東京の街ではあまり見かけない。

やはり室蘭の人たちはすごいのである。

 

「最初は、なんでこんなことやってるの?って思っていたけど・・」

倉地清美さん

倉地さんは最初にこの活動のことを聞いた時、

櫻井がやっていることだからたぶん信頼できるけど、なんでこんなことやってるの?」と

とても率直な疑問をメンバーへぶつけたという。

その時の会話がどういうものだったかは詳しくは仰らなかったのだけれど、

長年、室蘭の輪西に暮らしてこられた倉地さんはこう仰っていた。

 

「とても大切なものに気づくことができた」

 

「人生まだまだ捨てたもんじゃないなぁと思った」

                     「本当に感謝してる。ありがとう」

 

この時のお話を思い出しながら、倉地さんの編集された 冒険のつづき を読んでいると

涙が出そうになった。

 

2015年9月25日、こんな素敵な皆さんに逢えるのを楽しみに、再び室蘭を訪れようとしている。

 

<文・写真:小瀬木祐二>