数千万年前，マグマはこの地に岩と島をつくりました．岩は波に削られて断崖となり，崩れ落ちた砂は島を陸につなぎました．室蘭は，その断崖と室蘭岳からなる美しい海の街です．

室蘭の地形はそのまま港です．古代から海上交流が盛んでした．近世にはアイヌと和人の交易の拠点となり，明治に入ると函館と札幌を結ぶ交通の要衝として栄えます．

海岸の砂に含まれる豊富な砂鉄と，夕張から鉄道で運ばれる石炭が製鉄と鉄鋼の街を育てました．人口の集中と過酷な労働は多くの都市問題を生みますが，皮肉なことにそれは，ひとびとがこの地に豊かな文学を開花させるエネルギー源となりました．

高度成長を終えたあと，住民が企業に働きかけ，公害を解決しました．現在は，さらに様々な企業が研鑽し合う，産業と美しい自然が共存する小都市です．美しい断崖と港，そして海は，室蘭を北海道でも最多の魚種をほこる幸せで小さな都会にしています．

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