地区公民館（ちくこうみんかん、1949年 - 1978年3月、1997年2月 - ）、類似公民館（るいじこうみんかん、1978年4月 - 1997年1月）は、1949年以来、社会教育法に基づいて市内各地に設立された社会教育施設。小田原市ウェブサイトによると、2023年4月14日現在、10地区ブロックの128館が開設されている⁽⁵⁾。

地域の教育・文化拠点を志向していたが、1958年に自治会が組織されて以降、自治会やその関連団体の集会場としての性格を強くしており、市からの建設費や運営費の助成を受けてきたが、その在り方が問われている側面もある。

沿革

1949年（昭和24）6月、社会教育法施行⁽¹⁾。同年10月1日、小田原市内の地区公民館第1号として、久野公民館が開設された⁽¹⁾。同月26日、第2号として中島公民館落成^(1)(3:83)。

1951年（昭和26）3月、助成基本方針の策定⁽¹⁾。市から地区公民館に対して運営助成金が交付されることになった⁽¹⁾。

1952年（昭和27）7月6日、中央公民館および地区公民館10館により、月例の連絡会議として小田原市地区公民館連絡協議会（市公連）結成^(2:20)(3:83)。

1954年（昭和29）12月、地区公民館設置基準および建設費補助基準が内規として規定される^(1)(3:83)。

1958年（昭和33）、市内全域で自治会が組織される^(2:12)。それまで地区公民館は地域の教育・文化拠点として独自の活動を展開してきたが、自治会の傘下入りすることなって独自性を失い、自治会の集会場としての役割が拡大していった^(2:12)。同年を境に、地区公民館での学習や事業は急減した^(2:12)。

1959年（昭和34）、市が社会学級を各公民館に委託開設⁽¹⁾。

1962年（昭和37）、建設費補助基準改訂（3.3m²あたり33千円から35千円に）⁽¹⁾。

1964年（昭和39）、建設費補助基準改訂（木造50千円、鉄骨またはブロック造65千円、鉄筋造75千円に）⁽¹⁾。

1965年度（昭和40）に中央公民館が委託して地区公民館が実施した社会学級は58学級あった⁽¹⁾。学習内容は、一般教養として文字の読み書き、法律知識、絵画、俳句、園芸、音楽、華道、手芸、郷土研究、自然研究など⁽¹⁾。ほかに青少年問題や家庭問題、保健衛生、政治、時事問題、農業などの社会学級が開かれていた⁽¹⁾。

また市立の中央公民館分館のほかに、一部の地区公民館（新宿公民館、33区公民館など）では市の自動車文庫の配本を受けて、毎月60-80冊の図書の貸し出しを行っていた⁽¹⁾。

上記とは別に地区公民館が独自に企画実施する事業として、

• 体育祭などのスポーツ大会、ラジオ体操
• レクリエーション、納涼大会（盆踊り）
• 教養講座：生け花、句会、謡曲の練習、郷土研究・自然研究、簿記の実習
• 家庭：新生活運動、美化運動、料理実習、家庭学級、育児研究、手芸講座
• 保健：成人病予防、血圧測定
• 農業生産研究：みかん、ナシ、稲作など
• 政治：公明選挙、婦人政治大学
• 福祉：老人クラブ、敬老会、社会施設慰問
• 児童向け講座：珠算、書道、勉強会、子供会活動

などの事業が展開されていた⁽¹⁾。

1966年（昭和41）当時の運営実態として、地区公民館には専任の職員は居らず、自治会の役員が館長や各部長を務めていて、公民館活動は自治会ぐるみの活動として展開されていた⁽¹⁾。

1974年（昭和49）から建設費補助金の額は、従来の建築費の8-10％から建築費の30％に増額され、地区公民館の建設が進んだ^(2:11)。

1978年（昭和53）4月1日、教育委員会庶務規則の改正により、地区公民館は類似公民館（るいじこうみんかん）と呼ばれるようになった^(2:13)(3:87)。

1997年（平成9）2月、教育委員会庶務規則の改正により、類似公民館の呼称が地区公民館に戻された⁽⁴⁾。

地区公民館に含められていない施設

小田原市ウェブサイトによると、2023年4月14日現在、下記の3施設は地区公民館に含められていない（理由は未詳）⁽⁵⁾。

• 坊所公民館
• 新屋敷公民館
• 酒匂大道公民館

参考資料

1. 小田原市中央公民館『小田原の公民館』小田原市教育委員会、1966・昭和41年3月、13-24頁
2. 40周年記念誌編集委員会『未来へ 私たちの公民館 小田原市中央公民館40周年記念誌』小田原市教育委員会 中央公民館、1990年12月
3. 小田原市公民館連絡協議会『公民館 市公連40年のあゆみ』同左、1993・平成5年2月、83-94頁
4. 中央公民館50周年記念誌編集委員会『21世紀へ 私たちの公民館 小田原市中央公民館50周年記念誌（1990-1999）10年の歩み』小田原市教育委員会、2000年12月、85頁
5. 小田原市 文化部 生涯学習課 生涯学習係「地区公民館について」小田原市ウェブサイト、2023年4月14日更新